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マイプロジェクト

地域Summit

2019.2.21

マイプロ応援団インタビュー(1)/株式会社New Stories 代表 太田直樹さんvol.1

全国高校生マイプロジェクトアワード2017の全国Summitで、審査員をしてくださったことをきっかけに、マイプロ応援団としてマイプロをサポートしてくださっている太田直樹さん。

今回、マイプロジェクト事務局の吉田がインタビューを行いました。

 

▼マイプロジェクト応援団とは?

https://myprojects.jp/cheer/

 

話し手:太田直樹さん(株式会社New Stories 代表)

総務大臣補佐官として、2015年1月から17年8月まで、地方創生及び ICTの政策立案に従事。その前は、ボストンコンサルティングに 17年半在籍し、アジア地域のテクノロジーグループを統括。2018年に、 テクノロジーの社会実装のプロトタイピングを通じて、企業のイノベー ションを支援する株式会社New Storiesを設立。また、テクノロジーを活用して市民が地域課題を解決するCode for Japan理事、高校を起点に地域の未来をつくる一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム評議員などを務める。

 

聞き手:吉田愛美(全国高校生マイプロジェクト事務局)

 

 

変わる「寄付」~お金と○○はセットで~

 

太田直樹さん

 

太田:

僕はね、「寄付」というものが変わってきていると思うんですよ。

 

2000年代の半ばぐらいから、世界の子どもたちの飢餓撲滅に取り組むNPOでファンドレイジングを5年くらいやっていたんです。そのときに、日本の寄付市場を結構調べていて。

 

これまでの寄付状況をまとめると、60代~70代で、もうあまり仕事もしておらず、生活に比較的余裕のある人が「社会のためにちょっと何かをしたい」という気持ちで寄付をしている、というのが8割以上でした。

 

一方で、例えば20代、あるいは学生といった若い人たちのなかで、「何か社会のためにしたいと思っているんだけれども、行動を起こすことができていない」という、潜在的な寄付者の塊が存在していたんです。

 

ただ、海外と違って金額面で言うと、日本では企業の寄付金が多く流れていて、個人の寄付というものは結構少ない。全体的には、欧米に比べて寄付というものがあまり根付いていない。これは、『寄付白書』が指摘してきたところでもありますね。

 

個人的な感覚としては最近、その中間の僕みたいな、50代のあたりが変わってきていると思っていて。

もうちょっとしたら人生が100年という時代になると言われていますよね。いままでは仕事を熱心に頑張って、組織の中で大きな仕事をやっていって、というモデルを目指して多くの人たちが働いてきたと思います。

 

でもこれからは、20代で社会人になって、これまでみたいに40年や50年、それ以上の年月を働くことになる。そうしたときに、社会との関わりを広げつつ、働くというのが、周りを見ていると増えてきていると感じるんですよね。

 

とはいっても、普通に仕事を頑張っていると会社以外の人との付き合いってなかったりするじゃないですか?

そういうときに寄付を通じて、お金だけじゃなくてちょこっと自分がやれることを手伝えたらっていう人が増えてきているんじゃないかなと。

それは、仕事をする時間が段々と伸びていくときに、すごく面白い生き方になるんじゃないかなって思うんですね。

 

お金の寄付というのはもちろんあるんですけれど、僕は社会的な活動に今、2割ぐらいの時間を使っているんですね。

その「活動」と「お金」というのをセットとして捉えていて。

僕の同世代で大手コンサルティング企業にいた人は、ソーシャルな活動と仕事が半々ぐらいで。そういう人が結構増えてきているんですよね。

 

吉田:

太田さんの周りでは?

 

太田:

うん。

これがまだね、「あの人珍しいよね」っていう感じだと思うんだけれど。

多分ね、そういう生き方がこれから一般化していくんじゃないかな。

 

吉田:

仕事をしながら社会的な活動にも携わる人が増えていくんじゃないかという予感は、どこから来ているんですか?

 

太田:

その予感?

楽しいからね、まずは。

 

吉田:

一番大事ですね。

 

太田:

うん。楽しいんだけれど、ただやっぱり・・・

まだ50歳ぐらいであれば、普通の組織だと上の方にいるじゃないですか?偉い人って。

 

その偉い人が理想としているモデルが、世代によって結構違うんですよね。

だからね、やっぱりちょっと不安はあって。「そんなことよりも100%仕事に集中して」っていう。

 

50歳前後って脂が乗っているころで、どんどん大きな仕事をして昇進をしていく時期じゃないですか。そのときに例えば、週末は東北に行っていますとか、平日の夕方は何か社会的な活動をやっています、というのは上の世代の価値観からすると「仕事で社会に貢献しろよ」と言われちゃうんだよね。

 

だけれど「何かちょっと違うよな」って思っている人が段々増えてきている。もっと下の世代になると、もう複業が当たり前になっているという流れがあって。

 

だから、一番良いのはお金だけじゃなくて、そういう活動に時間を使うこと。それが楽しいし、豊かですよね。

 

多分、40~50代の人は世代的にFacebookをやっている人が多いと感じていて。そういう目でFacebookを見てみると「あ、この人何か違うことやってる!」っていう人が結構見つかるのが今だよね。

 

いつの間にかこんなことやってるとか、週末に東北に行ってるとか、学校で何かやってるとかね。そういう人が増えてるかなっていう印象を受けるね。

太田さんの「寄付年表」

 

吉田:

太田さんはその中でも特に、いろんなことをされていますよね。コクリ!プロジェクトのお話だったり、いろんなところでのプロボノだったり。地域・教育魅力化プラットフォームでも活動をされていますよね。

 

マイプロにもたくさん応援をいただいているんですが、自分が繋がりを持とうとする相手は選んでいるんですか?どういう感覚なんでしょう?

 

太田:

選んでいるのは選んでいて。

この間、宮城県の女川町に2日間ぐらい行ってたんですよね。あそこって「還暦過ぎたら口出すな」って言われていて、震災復興の主役は30~40代だったんですよね。

こう言うと怒る人もいるかもしれないんだけれど(笑)

僕はそれが結構大事だと思っていて。基本的には「次の世代の人たちがやっている活動を大切にしたい」という気持ちが、一番大きな塊としてありますね。

 

あとは、何か新しいものが生まれることに興味がある。新しいものが生まれるときって「余白」がないと。やっている人も、やっているフィールドも詰め詰めだったら新しいことは起きにくいじゃないですか。

 

そういうこともあってか、地方はやっぱり余白が大きいので、地方で30代ぐらいの人がやっていることを応援しているのが多いなって、昨年末に振り返って整理して気づきましたね。

 

面白いものを選んでいくと、そうなっちゃうんですよね。

 

吉田:

自分より若い世代に対して、期待感やあたたかく見守る姿勢をとれる方もいれば、下から突き上げられる切迫感・焦燥感といったマイナスの感情を抱いている世代の方もいらっしゃると思うんですけれど・・・

 

太田:

やっぱり上から下への圧はあって。僕も先輩からの圧は感じるので。

例えば、100%の時間を営利的な仕事に使うほうが、短期的な社会貢献は大きいと思うんですよね。どこかの会社を立て直して何千人の雇用環境が良くなります、とかね。それも1つの見方だと思うんですよ。

短期的なっていうか、効率性とか生産性の視点からかな。

 

大げさな話になるけれど、日本のGDPに貢献するとなると、今みたいな社会的活動に2割の時間を使うという僕のやり方じゃないほうが良いと思う。

 

でも、それで社会が良くなるっていう感じがあまりしないので。

 

吉田:

短期的な社会貢献だと、日本のGDPに貢献するのは太田さんの効率性と生産性によるもので、長期的な貢献をするならば、太田さんご自身ではなく、若い人たちが何かを創造していくというイメージがあるという感じでしょうか?

 

太田:

そうですね。

上から下への圧に関して、一番は団塊の世代からの圧力はやっぱり来るんですよね。団塊の世代から、僕ら50代への圧力というのは「組織の中でもっと頑張れよ」みたいな話ですね。

 

彼らが若い人に言っているのは「野心がない」とか「夢がない」とか。それは多分、そう見ているんだろうなと思いますよ。

 

でも、女川では結構、腹割って話しているんですよね。単に元に戻すだけじゃない、復旧じゃなくて復興というものを本当にやっていくときには、自分たちは口を出さないほうが良いって。若い人が突き上げてやってるんだからって。

 

みんな、おばちゃんとかも、全部の世代が入っている中で話し合って出てきた結果だっていうので。あれは結構大事なことだなと思いましたね。

 

吉田:

そうなんですね。女川にはカタリバの拠点もあって、私も最近行きました。

 

太田:

すごくクリエイティブですよね、あの場所はね。

 

あまり批判するのは良くないけれど、他の場所は全部、海からの災害を防ぐことを主目的に復興を進めたんですよね。その結果、景観にも影響は出てしまって。

 

でも女川の場合は、ちゃんと海が見えるようになって、元旦には1000人もの人が外から集まる場所になった。もちろん、地形のメリットはあるんですけれど、新しいものを創る人たち、しかも自分たちが町を守っていくんだという人たちに、思い切って任せたからだと思うんですよ。

 

吉田:

インタビューをさせていただく前に、太田さんのことをいろいろと下調べしていくなかで「未来」「創造」「協働」といった言葉がよく使われているなあという印象を受けていて、まさにそのようなお話を聞くことができたなと思いました。

 

【インタビューの続編】

vol.2はこちら:https://myprojects.jp/news/9200/

vol.3はこちら:https://myprojects.jp/news/9202/

 

(取材日:2018年1月23日、取材:吉田愛美(マイプロジェクト全国事務局)、文:延岡由規(同左))

※インタビューの内容は取材当時のものです。

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