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マイプロジェクト

地域Summit

2019.3.18

【事務局長blog⑤】まさに未来の学びのロールモデル!全国へ集まる高校生の3つの共通点

全国のみなさま、こんにちは。
マイプロジェクト事務局長の今村亮です。

ついに3月22日より、全国各地を代表する32プロジェクトが東京に結集します。全国およそ200高校から集まった562プロジェクト2,713人の代表たち。なんと17.6倍の中から選びぬかれた計算になります。

当日のワクワク感を想像すると、事務局一同ちょっとハイです。土日返上の運営準備も、この時期だけはがんばれます。

さて。全国summitが始まる前に、ここに集まる高校生に共通する3つのポイントを言語化してみました。(観覧チケットは完売してしまいましたが、出場者一覧は「みんなのマイプロ」でご覧いただくことができます。)

1.個性的なアイテム
和紙、アニメ、傘、パパイヤ、寒天、デニム、水鉄砲・・・。マイプロを企画するときに、高校生たちが選んだアイテムはとても個性的です。並べてみると十人十色の不揃いさに可笑しくなってきます。


写真は傘をモチーフにした「油津商店街アンブレラスカイプロジェクト」(宮崎県)

もちろんマイプロジェクトアワードでは、どんなアイテムを用いるかということは評価対象になりません。問われるのは「なぜそれを用いるのか」という、自分なりのドラマです。全国進出32プロジェクトはそれを圧倒的に満たしています。

ちなみに漫画ハンターハンターによると、念能力が発動するとき、その見た目は自分自身の避けがたい生き様と紐付いていると言います。たとえばクラピカは鎖、イルミは針という具合に。自分の在り方と近いモチーフのほうが、メモリが最適活用されるのでしょう。マイプロにおけるアイテム選択には、これに近いものを感じます。(余談ながら私の趣味は漫画批評で、これはこれで自分自身と紐付いています)

2.与えられた環境を「じぶんごと化」
前回のblogにまとめたとおり、今回は学校部門のエントリー数が個人・グループ部門を上回ったはじめての大会となりました。これは多くの高校生が、誰かにもらったきっかけからマイプロを始めていることを意味します。

もちろん、誰に薦められることもなく、ときに反対をくつがえしながら、自ら動き出したマイプロも素晴らしい。一方で「やってごらん」と言ってくれる存在がいるその環境を、時間をかけて「じぶんごと化」していくことも同様に素晴らしい。
マイプロを一部のスーパー高校生だけの取組、とするのではなく、教育全体の営みとすることを目指す上では、むしろ後者の方に期待があります。

子ども・若者の参画における第一人者ロジャー・ハートは「子どもの参画のはしご」というモデルを提唱しています。


図はcoelogより引用 https://coelog.chuden.jp/child-raising/02/

探究における教育活動においては、一足飛びに最上段へのジャンプアップを期待するのではなく、一段一段はしごをかけていくような伴走のアプローチが、必要となるでしょう。

3.アワードの場で変容していく
書類選考→校内発表会→地域大会→全国、というプロセスは高校生にとって大いなるリフレクションの機会となります。驚かされるのは、このプロセスでさらに成長していく高校生たちの姿です。

たとえば校内発表会のときに「これからパパイヤでコロッケをつくります」と言っていたはずの広島県の高校生は、地域大会では「コロッケができましたが、まずかったので作り直しています」と発表した。わずかな時間の中でアクションが前へ前へと進んでいるわけです。

一方、学びの深まりも見られます。書類選考段階では「イベントをやってみました」というだけだったのに、発表段階でイベント開催したからこそ気づいた自分自身の矛盾について深く内省して語ったのは、三宅島の高校生でした。

アクションと内省が絶え間なく連鎖してく高校生の姿は、未来の学びそのものです。戦いの中で無力な自分に向き合い、過去と出会いながら、次第に成長していった浦飯幽助の姿と重なります。(『幽遊白書』は私が最も好きな漫画です)


写真はパパイヤ畑の高校生たち(広島県立御調高等学校

以上が私がまとめた3点です。繰り返しますが、高校生たち、かなりすごいです。本当にすごい。なので、マイプロジェクトアワード全国summitのプログラムは、全国へ集まった高校生全員を「All Star Team 2018」として称賛する認定式から始まります。この場では勝敗なんかよりも、そこで得られる仲間と経験こそ価値があるんだよと、高校生には大声で伝えます。

最後に事務局長としての思いを吐露すると、私たちは「マイプロジェクト」と「アワード」という要素は、混ぜてはいけない相反するものだと自戒しながら運営を行っています。

たとえば英単語力をつけたかったら暗記大会にして評価をつけてみるのも有効かもしれません。しかし高校生の在り方・学び方に大人が勝敗をつけることは、取り返しのつかない暴力になりかねません。言うまでもなく「マイ」に優劣はなく、あるのは多様性だけです。みんな違ってみんないい、に決まっています。

それでも私が「マイプロジェクトアワード」に未来を感じるのは、この場に集まるのことで成長していく高校生の姿、高校生を中心に変容していく地域・学校の姿に可能性を感じてならないからです。この手ごたえは確かです。

マイプロジェクトをめぐって、未来のロールモデルが生まれつつあります。「マイプロジェクトアワード」という舞台装置を用いて、これを発信していくことには大きな意味があるのではないでしょうか。

今、これから押し寄せようとしているのは戦後最大の教育改革です。運用面、制度面、組織面、たくさんの不安が議論されています。形だけの改革で終わる心配もあります。ついに流れ始めたこの大きな潮流において、NPOにできることはごくごく限られています。ならば私たちはマイプロジェクトアワードで全国の高校生をつなぎ、地域をつなぎ、先生方をつなぎ、未来へとメッセージを送ります。

これが私たちの思いです。高校生に問いかけ、評価しようとするとき、私たち事務局もまた「マイ」を問われていることを、ゆめゆめ忘れないようにいたします。

 

写真は、そんなコソコソ話をしている事務局一同。

私たちはこうした考え方に賛同してくださる高校・自治体・地域団体の、「パートナー」を募集しています。パートナー団体には、全国高校生マイプロジェクトが積み重ねたノウハウを無料提供していきます。

■詳しくはこちら
https://myprojects.jp/award/award2019/partner/

さあ。マイプロジェクトアワード全国summit、今年はどんなドラマが語られることでしょう。キーボードを打ちながら、私の目頭はすでに熱を帯び始めています。

下記は出場32プロジェクト一覧です。
「みんなのマイプロ」とともにご覧ください。

(文責:今村亮)

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【学校部門】
授業・探究活動・課題研究・部活動・委員会活動等をきっかけに取り組んだプロジェクト(学校名を公表しながら審査を進めます)

■北海道大会
函水生が考える通学路線いさ鉄ピンチ脱出企画!/(北海道函館水産高等学校)
全校生徒の約40%が利用する、道南いさりび鉄道(通称「いさ鉄」)。新幹線開業によって経営分離されたこの路線は、10年で23億円の赤字が見込まれている。沿線の水産物を活用したいさ鉄の活性化を模索するプロジェクト。

■岩手県大会
新しい”あたりまえ”を ⠁⠕⠑⠳⠃⠁⠕⠓⠵⠋⠔/(岩手県立大船渡高等学校)
聴覚障がい者による音楽の演奏や視覚障がい者によるブラインドフォトといった芸術活動、視覚障がい者のための盲導犬アプリの開発を通して、「障がい」と決めつけ制限をかけるのではなく、その可能性を広げようというプロジェクト。

■東北大会
全国に防災意識を広める/(福島県立ふたば未来学園)
全国の防災意識を高めようと、避難経路とプラスのイメージを持つ祭りを結びつけた。祭りで歩くルートを避難経路に変える試みを実行。今後は祭りにとどまらず、小学生の遠足を避難経路に変える取り組みを実行予定。

全学科参加型アグリプロジェクト/(青森県立三本木農業高等学校)
本校にある五学科に担当作物と役割を割り振り、栽培、収穫。さらに収穫した野菜を、地域で販売するほか、プロジェクトの一つである「さんのう暗闇レストラン」で調理・提供。栽培から販売までの六次化のプロセスを活かした。

■東京大会
ファッションの情熱大陸/(私立郁文館高校)
将来の夢はファッションデザイナーになること。しかし洋服で人を幸せにしたいという思いがありながら、ファッションの裏側にある問題を知らずにいた。問題を人々に知ってもらいながら、洋服を好きになってもらうプロジェクト。

この農法を伝えたい~アヒルと夢見た日本一~/(神奈川県立中央農業高等学校)
アヒル農法を用いた水稲栽培について研究を行っている。校内の水田でのアヒル農法による神奈川県の水稲奨励品種「はるみ」の水稲栽培を行うと共に、食の大切さを知る食育活動と環境保全活動について伝える活動。

伊豆半島活性化プロジェクト/(静岡県立韮山高等学校)
以下に企画参加し、伊豆半島の活性化を図る。①世界文化遺産韮山反射炉の英語ガイド、パン祖のパンアレンジ、高校生世界遺産会議②伊豆半島ジオパーク、理数科課題研究、ジオツアー企画、ジオ電車企画、まち・ひと・しごと事業、若者のUターンを図る新聞作成

■関西大会
つながりの先に、射添紙/(兵庫県立村岡高等学校)
射添和紙の魅力を高校生目線から発信しようと、和紙作品を考案、活用した企画を実行。地元のマラソンの表彰状作成や小学生への紙漉き指導、移住定住ツアーへの協力によってコミュニティを作り、活動を地域内外へ発信することで人と人との繋がりを作り出す。

水道スマートメータに向けた取り組み/(帝塚山高等学校)
「水道ガール」として水道メータの自動検針化を目標に日々活動を行う。その中で水道メータの値をブラウザ上で確認できるシステムを開発。様々な理由で検針作業が困難な地域の方々に貢献する方法を模索中。

よみがえる!茨木の寒天 ~山からとれる海の幸~/(大阪府立茨木高等学校)
茨木市では寒天が200年以上前から作られ、世界中に輸出されていた。しかし約30年前に寒天づくりは途絶え、現在ではその存在さえあまり知られていない。昔ながらの寒天づくりを復活させ、まちおこしにつなげようというプロジェクト。

■島根県大会
ふるさとを守ろう私たちの手で~特定外来生物オオキンケイギクを楽しく学べる方法の提案~/(島根県立隠岐高等学校)
ジオパークに認定された隠岐の植物を守るため、駆除されるべき特定外来生物を楽しく学んでもらう方法を模索。使う人のニーズに合った判別できるしおりの考案と検証を行いながら、地域住民が行動に移せるきっかけづくりを行う。

■九州大会
京町温泉活性化プロジェクト/(宮崎県立飯野高等学校)
京町温泉郷ひとつひとつの温泉につけたキャッチコピーをパンフレットにまとめ、道の駅などで配布。また、温泉水と水鉄砲をコラボしたウォーターシビルウォーをはじめとする複合型イベント、えびのスプラッシュフェスの開催を目指す。

地域活性化の取組を通じて学んだこと・考えたこと~食物グループ~/(広島県立御調高等学校)
尾道市北部にある御調町の活性化に向け、地元産パパイヤを使った商品開発に取り組む。地元の企業と連携してパパイヤを育て、道の駅などで販売。また、大阪の企業に協力を依頼し、パパイヤコロッケの商品化を推進中。

■Online大会
福島から伝えたい事と、私が伝えたい事/(福島県ふたば未来学園高等学校)
東日本大震災以降、原子力発電所や放射能の影響で増えた福島県の風評被害をなくすために、自分の震災当時の体験や、現在福島県がどのように変わってきているかを発信する活動。主に、ツアーや福島のために活動している人を支援している。

三宅島情報誌(東京都立三宅高等学校)
首都東京にありながら認知度が低い三宅島。島についてもっと多くの人が知り、来てもらいたいという思いから、誰もが「手にとってみようか」「読んでみようか」と思うような情報誌を作成し、反響の調査までを実施。

島っ子ゆめプロジェクト/(東京都立三宅高等学校)
高校卒業とともに島を出る三宅島の子どもたち。高校生になってから将来のことを真剣に考え、大変な思いをしてほしくない、という思いから、島の小中学生に勉強の大切さや将来を考えるイベントの開催、高校の先輩体験談をまとめた冊子を製作。

【個人グループ部門】
学校外での活動をきっかけに取り組んだプロジェクト(学校名を公表せずに審査を進めます)

■北海道大会
ニホンのサイン/(北海道)
日本の伝統文化の核であるサインの素晴らしさを、言語の壁を超えて沢山の人に発信するプロジェクト。また、サインを映像で表すことによって、よりわかりやすく魅力的に伝えようと模索中。

■岩手県大会
限界会議/(岩手県)
陸前高田市小友町におけるコミュニティの再編を行いながら、20年以内に限界を迎えると言われているまちの50年後の未来について想像し合う“限界会議”を開催。中学生から80代の参加者と共に小友町の可能性を探る。

■東北大会
スマホゲーム「気仙沼クエスト」制作〜僕は表現がしたい〜/(宮城県)
オリジナルの町歩きスマホゲーム「気仙沼クエスト」を通して気仙沼の里帰り率、Uターン率を増やそうというプロジェクト。

JOMON AOMORI 子ども人財育成プロジェクト!/(青森県)
小5~中3を対象に縄文の魅力を伝えるプロジェクト。第1弾ではクラウドファンディングで資金調達し、学芸員の職業体験や、遺跡のガイド体験等を行った。第2弾実施後も、SNSやマスコミ等を通じて世界遺産登録に向けたPRを行う。

■東京大会
繋ぐ 〜子ども×社会〜/(長野県)
社会的養護の元にある子どもたちと社会をつなぎ、将来の可能性と選択の幅を広げるプロジェクト。その現状と課題を行政や弁論大会で伝えることで支援の輪を広げたほか、出会いと情報共有の場としてロールモデル交流会を開催。

松原団地草の根デジタルアーカイブズPj/(埼玉県)
松原団地初となる資料集・WEBサイトを制作。また、昭和文化史の重要史跡・史料として松原団地の保存活動を推進。さらに、市・学校と協議し、昭和期を意欲的に学習できるよう、地域資料を活用した探究型のプランを作成・提案した。

ともとも/(東京都)
高校生による、子ども食堂に集まる子どもたちへの無料学習支援。月2回、食堂が始まる前の1時間で、子どもたちの宿題などのサポートを行う。友達と和気あいあいと勉強に取り組むことで、学習意欲の向上を目指している。

■関西大会
ほっと!スペースプロジェクト/(和歌山県)
子どもの発達障害で悩みを抱える保護者同士の交流の場、子どもを連れて気軽に外出ができる場、専門家に相談ができる場を提供。子どもが学生ボランティアと遊ぶ傍らで、保護者や特別支援教育に携わる方々が交流を行っている。

making home for young!/(岐阜県)
世の中の少数派がより楽しめる社会にしたいという思いから、特殊な環境にいる若者を対象にプロジェクトを行う。 児童養護施設出身者が卒業後の住まいに困るという現実を知り、お年寄りとのシェアハウスによる解決を試みた。

あったかいプロジェクト/(岡山県)
井原市を盛り上げるため、井原デニムを使ったイベントを開くなどで井原デニムを広め、井原市をより多くの人に知ってもらう。活動での利益や商品は、井原市活性化団体やお世話になった人たちや被災地に寄付。

■島根県大会
WAKAGAERIプロジェクト/(島根県)
小さいころから大好きだった地域の伝統芸能・出雲神楽が、少子高齢化の影響で衰退している現状を知り、それを食い止めようというプロジェクト。授業では神楽について探究し、地域のイベントでも神楽を演じている。

■九州大会
油津商店街アンブレラスカイプロジェクト/(宮崎県)
台風の影響や老朽化により、数年前に屋根が取り外されてしまった日南市・油津商店街アーケードを、カラフルなたくさんの傘で彩るプロジェクト。

我ったぁ~勝連ガイド氏/(沖縄県)
地元の世界遺産、勝連城跡でガイドや体験イベントを開催。日本語だけでなく、外国人観光客に向けた英語での案内にも挑戦している。小さな子ども連れの家族にも楽しんでもらえるよう、ストラップ作りや伝統楽器の三線体験も実施。

■Online大会
姉妹で奮闘!~小児がんの子ども達に無償で幸運のウィッグを~/(群馬県)
全国から頭髪を募り、小児がんの治療過程で頭髪に悩む子どもたちにウィッグを製作し無償で届ける活動を展開。姉妹で同好会をゼロから立ち上げた。企業や病院に協力を要請し、今まで5人の子どもたちにウィッグを提供した。

La Pausa space/(神奈川県)
現在子どもという存在は、大人の言いなりになることが多い。 特に、虐待を受けてきた子どもたちは、教育を受けていなかったり、大事なことが抜け落ちていたりする。 生きていく上で最も大切な「選択する」と言うことを、食を通して伝える。

フクシマから福島へ/(福島県)
福島の活性化を目指すプロジェクト。見える化として、夢を描いた折り紙で虹のモザイクアートを作成。また、写真を多用し英語表記も加えた今の福島を伝えるファイルを作成し、情報発信。さらには才能発掘として、コンテストなどのポスターを作成した。

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