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06/20更新版

2025.06.20

  • #MyprojectStories

同世代の“本気”に圧倒され、“当たり前”が塗り変わった── 自ら企て動く面白さから起業へ。過去参加者に聞く、マイプロジェクトの価値


「本気になれば、できることって、まだまだあるんだなと。それに気づかせてくれたのが、マイプロジェクトでした」

高校3年生の時に『全国高校生マイプロジェクトアワード2018九州大会』に参加した、黍田龍平(きびた・りゅうへい)さんは、当時の経験をこう振り返ります。

高校卒業後、黍田さんは、わずか20歳で起業。毎月の積み立てでお得に商品が買えるECサービス『Respo(リスポ)』を立ち上げ、さまざまなEC事業者にサービス提供を行っています。「日経クロストレンド 未来の市場をつくる100社【2025年版】」にも選出されるなど、いま注目を集めているスタートアップです。

他の参加者の発表を聞き、自分は井の中の蛙だったと気づかされたという黍田さん。マイプロジェクトで得た経験は、その後のキャリアにどう活きたのか。そして、いま振り返って感じるマイプロジェクトの価値とは。じっくりと話を伺いました。

<目次>

1. 怪我で断念したバスケ、その先に次の“夢中“が

2.「なんとかしたい」が、動き出すきっかけに

3.自分の活動を認めてくれる存在を、ずっと求めていた

4.圧倒されたあの日、“当たり前”が書き換わった

5.意思をもって動く力が、未来を切り開く

6.読者のみなさまへのご案内
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怪我で断念したバスケ、その先に次の“夢中“が

── 今回は、黍田さんが感じるマイプロジェクトの価値について伺いたいと思います。マイプロジェクトに参加したのは高校3年生の時でしたが、それまでの高校生活って、どんな感じだったんですか?

黍田さん:
なんというか、本当に普通の高校生だったと思います。部活を一生懸命やって、勉強もそこそこ頑張って。小学生の頃からずっとバスケをやっていて、高校でも真剣に取り組んでいました。

でも、高2のときに足を怪我してしまって、思うようにプレーができなくなってしまったんです。急にやることがなくなって、心にぽっかり穴が空いたような感覚になって。受験勉強に打ち込むという選択肢もあったと思いますが、勉強ってやっぱり基本は一人の世界じゃないですか。自分としては、仲間と一緒に何かに取り組むようなことがしたくて。

それで、高2の2学期の終わり頃から、仲のいい友達と課外活動を始めました。最初は、知り合いの病院でボランティアのようなことからスタートして。「こういう活動をしていたら、指定校推薦をもらいやすいらしいよ」という噂も耳にしていて、そういう不純な動機もありましたけど(笑)。

黍田龍平(きびた・りゅうへい)さん。株式会社リスポ 代表取締役社長。2001年、鹿児島県生まれ。高校3年時の2018年に「全国高校生マイプロジェクトアワード2018九州大会」に参加。2021年5月「Respo(リスポ)」を創業。

── その流れで、友人と一緒に教育団体を立ち上げたと伺っています。そこでは、どんな活動をしていたんですか?

黍田さん:
地元の中高生を対象に、月に一回程度の頻度で、さまざまな企画を実施しました。外部講師をゲストに招いて、ディスカッションの場を設けたり、ワークショップを開催したり。とにかく、その活動がめちゃくちゃ楽しかったんですよね。

僕が通っていたのは、小中高一貫の私立校で、“ザ・画一的教育”というような環境だったんです。盲目的に親や先生の言うことに従うのが良しとされるような空気があって、どこか違和感を抱いていました。だからこそ、「外の世界を見てみたい」という気持ちが、課外活動を始めた理由のひとつでもあって。

また、この教育団体は、僕が発起人となって、友人ふたりと一緒に立ち上げたんですが、仲間と何かをゼロからつくる面白さを、強く実感しました。今、起業しているのも、根っこはたぶん同じなんですよね。仲間と一緒に何かに夢中になれる、熱中できる。僕は、そういう時間が本質的に好きなんだと思います(笑)。

 

「なんとかしたい」が、動き出すきっかけに

── 高校3年生の2月に、黍田さんは『全国高校生マイプロジェクトアワード2018九州大会』に参加されています。そこで発表したプロジェクトについて、紹介していただけますか?

黍田さん:
僕が発表したのは、「鹿児島をもっと豊かに」というテーマのもと、市営バスを運営する会社に理想の時刻表を提案するというプロジェクトでした。

当時、バスで通学していたんですが、朝のホームルームに間に合う便が3本しかなくて。しかも、鹿児島の朝は道路がすごく混むので、一番早い便に乗っても遅刻してしまうことが多かったんです。それをどうにかしたいと思って、教育団体で一緒に活動していた友人ふたりと、このプロジェクトに取り組みました。

まず取り組んだのは、各バス停に書かれている時刻表と、実際の到着時間とのズレを調べることです。3人で手分けしてそれぞれの便に乗り、1か月分のデータを地道に集めていきました。そして、そのデータをもとに、「これなら、多少の渋滞があっても間に合う」という時刻表を作成しました。

幸いなことに、友人の父親が地元の交通機関に人脈があり、そのつながりで提案の機会を設けてもらうことができました。もちろん、さまざまな事情を踏まえて運行計画は組まれているので、すぐに変えるのは難しいというお返事でしたが、「今後の参考にしたい」というリアクションをもらえたのは嬉しかったです。

アワードでプロジェクトを発表する高校生時代の黍田さん

── 黍田さん自身が感じていた、日常の課題感から生まれたプロジェクトだったんですね。

黍田さん:
そうですね。取り組んだのは高3の2学期だったんですが、「高校の後輩たちのために、何か残せることをしたい」という思いがあったんです。いろいろ考える中で、「やるとしたら、やっぱりこれかな」と思って、バスの課題にたどり着きました。

教育団体での活動をマイプロジェクトとして発表する、という選択肢もあったと思います。でも、このバスのプロジェクトは、自分が本当に困っていたことで、「なんとかしたい」という強い気持ちがあったんですよね。そういう意味でも、マイプロジェクトとしてふさわしいんじゃないかと思って、発表させてもらいました。

 

自分の活動を認めてくれる存在を、ずっと求めていた

── ところで、黍田さんが『マイプロジェクトアワード2018九州大会』に参加しようと思ったのは、どうしてだったんですか?

黍田さん:
マイプロジェクトアワードの存在を知ったのは、たしかSNS経由だったと思います。「きみだけのドラマを語れ」というキャッチコピーに目を引かれて、Webサイトを覗いてみたら、北九州で大会が開かれることを知って。すぐに応募を決めました。

さっきも少し話したように、僕の高校は“ザ・画一的教育”といった雰囲気で、課外活動をどれだけ頑張っても、それを認めてくれる大人はまわりにいなかったんです。「そんなことをしてる暇があるなら、受験勉強を頑張りなさい」というような感じで。クラスメイトのことは好きでしたけど、学校の外に目を向けるようなタイプは少なかったですね。

だからこそ、自分の活動を認めてくれるような存在をずっと求めていたんだと思います。

当時、東京で開催された高校生向けのビジネスコンテストにも参加したことがありました。そこでは、社会に目を向けるのが当たり前で、誰も学校の中に閉じこもっていない。そういう空気の中で、気持ちを共有できる“同志”のような人たちと出会えたことが、すごく印象に残っていて。

マイプロジェクトアワードも、きっとそういう場なんじゃないかと感じたんです。しかも、今回は北九州での開催だったので、「これは行くしかない」と思って、すぐに申し込みました。

── そういう想いがあったんですね。実際に参加してみて、いかがでしたか?

黍田さん:
アワードでは、発表を聞いてくれた大人からフィードバックをもらえるじゃないですか。その内容がすごくよかったです。ロジックでただ問い詰めるようなものではなく、こちらに寄り添いながら、自然と深く考えさせられるような問いかけをしてくれて。「いい問いの種をもらえる」というのが、一番しっくりくる表現かもしれません。

それから、発表を聞いた人たちが、発表者に向けてメッセージカードを書いてくれる仕組みがありますが、こちらもすごく印象的でした。福岡の高校の先生が「最高。僕のクラスにあなたのような人がほしい」というメッセージを書いてくれて。それを見た瞬間、心から救われたような気持ちになりました。

 

圧倒されたあの日、“当たり前”が書き換わった

── 『マイプロジェクトアワード2018九州大会』への参加を振り返って、当時、一番学びになったと感じたことは何でしたか?

黍田さん:
当時の僕がアワードに参加して一番強く感じたのは、「自分って、井の中の蛙だったなぁ…」ということですね(笑)。

その大会で発表されたプロジェクトの一つに、『油津商店街アンブレラスカイプロジェクト』というものがあって。台風の被害や老朽化の影響で屋根が取り外された商店街のアーケードを、カラフルな傘で彩るというプロジェクトです。

この取り組みは、とにかく多くの人の協力がないと実現できないじゃないですか。学校の友人たちと一緒に商店街でボランティア活動をしながら、地域の人たちを巻き込んでいき、プロジェクトを形にしていったそうで。その行動力や巻き込み力、そして何より、それを支えていた熱量の高さに、ただただ圧倒されました。

油津商店街アンブレラスカイプロジェクト

── 他の参加者のプロジェクト発表から、大きな刺激をもらったんですね。

黍田さん:
そうですね。「本気になれば、できることって、まだまだあるんだな」って気づかせてもらったというか…。自分の“当たり前”が塗り替えられた感覚がありました。

アンブレラスカイプロジェクトに限らず、マイプロジェクトに参加している学生って、みんな熱量がものすごく高いんですよね。

(マイプロジェクトアワードとは別の)高校生向けのビジネスコンテストや、起業家・投資家を呼んで行われる勉強会などにも参加したことはあります。でも、そういった場にいる人たちは、どちらかというと「社会にこういう課題があるから、ここをアプローチすればビジネスになるかもしれない」みたいな、ロジカルに組み立てていくタイプが多い印象でした。

もちろん、それはそれですごいんですが、感情がベースになっているような取り組みとは、やっぱり違う。

黍田さん:
その点、マイプロジェクトアワードで発表される内容は、どれも自分の“Will(意志)”から生まれたものばかりです。

「自分が感じている課題をどうにかしたい」「これが好きだから実現したい」。そんな風に、いい意味で盲目的にのめり込んでいる。だからこそ、発表にも自然と熱がこもるし、その熱が聞いているこちらにも伝わってくるんですよね。

もしマイプロジェクトに出会っていなかったら、僕はいまも鹿児島で、小さなことをこぢんまりとやり続けていたかもしれない。自分の目線をグッと引き上げてもらった。そういう意味でも、マイプロジェクトアワードに参加したことは、僕にとって本当に大きな出来事でした。

 

意思をもって動く力が、未来を切り開く

── マイプロジェクトでは、答えのない問いに向き合い、行動を起こすことで、主体性や探究心を育むことを大切にしています。いま実際に、起業家として答えのない問いに日々挑んでいる黍田さんが、改めて感じるマイプロジェクトの価値とは何でしょうか?

黍田さん:
高校生という多感な時期に、主体性を持ってひとつのプロジェクトにのめり込む経験を、仕組みとして提供できている。マイプロジェクトの価値は、まさにそこにあると思っています。

僕の場合、課外活動を始めたきっかけは、「もしかしたら指定校推薦にプラスになるかもしれない」という、ちょっと不純な動機でした(笑)。でも、始める理由なんて、なんだっていいと思うんですよ。学校が探究学習を推奨していて、先生に言われて仕方なく始めたとしても、それでいい。

実際にやってみるなかで、「自分で何かをはじめるって、意外と楽しいかも」と感じる人がきっと増えていく。その結果、僕のように起業する人が出てくるかもしれないし、企業で働くうえでも、自分なりの視点を持つきっかけになるかもしれない。

自分で何かを企てて動き出すことに、面白さを感じられる。その感覚を持っているかどうかで、人生の満足度って大きく変わってくると思うんです。

黍田さん:
でも、そういう体験を多くの高校生が味わうためには、きっかけとなる場が用意されていないと難しいと思います。

マイプロジェクトアワードは、何かを探究する機会を仕組みとして提供しながら、同世代のプロジェクトから刺激を受けられる場でもある。その両方があることが、本当に素晴らしいなと感じます。

これからAIがますます進化していく時代において、難しい問いに対して、自分で意思決定をして行動していく力は、間違いなく求められるようになるはずです。

マイプロジェクトを通じて、探究することの楽しさや喜びを感じられる人が、一人でも増えていくといいなと思っています。


読者のみなさまへのご案内

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