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12/08更新版

2025.12.08

  • #レポート

研修の先に実現したい生徒・学校の姿を考え、実りある研修の第一歩に――「探究スタートアップラボ」第1回研修レポート

2022年度から高等学校では「総合的な探究の時間」が必修となり、2年が経過しました。
しかし、探究学習の推進に課題を感じている教員は依然として9割を超え、その多くが「伴走」や「校内体制づくり」に課題を抱えています(1)。
(1)マイプロジェクト全国事務局による高校教員アンケート調査(2023年11〜1月取得/n=340)

こうした課題を解決すべく、日本全国の教育支援団体や学校と連携し、実践型探究学習「全国高校生マイプロジェクト」の推進に取り組んできた認定特定非営利活動法人カタリバ(以下、NPOカタリバ)は、全国の高等学校を対象に「総合的な探究の時間」のカリキュラム開発研修「探究スタートアップラボ」を実施しています。

今回は、9/16(火)に福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校(以下、ふたば未来学園)で行われた2025年度第1回目研修の様子をレポートします。

<目次>

「探究スタートアップラボ」とは

探究先進校・福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校から学ぶ
・探究推進を実践してきた教員による親身なアドバイス
・「未来創造探究」の授業を見学。育みたい生徒像をより明確に。

「育みたい資質能力・生徒像とはどのようなものなのか」学校ごとに検討するワークショップを実施
・①資質能力例が記載されたカードを使い、自校で育みたい資質能力を検討する
・②資質能力を身に着けた生徒の姿を具体的にイメージする
・③資質能力を支える学びの在り方を考える

参加者の声

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【「探究スタートアップラボ」とは】

 

「総合的な探究の時間」について「伴走力向上」と「学校ごとの探究推進チームづくり」をテーマに全国から高校教員を募り、半年間にわたる全3回の対面研修と日常の実践〜振り返りに伴走するプログラムです。

 

▼2025年度研修の流れ

「探究スタートアップラボ」令和7年度エントリー開始~総合的な探究の時間における「伴走力向上」や「カリキュラム開発」を促進したい学校関係者の皆様へ~カリキュラム開発研修「探究スタートアップラボ」、リリース~総合的な探究の時間における「伴走力向上」や「カリキュラム開発」「組織的な取り組み」を促進したい方へ~

 

▼2025年度採択校一覧

【参加校確定!】カリキュラム開発研修「探究スタートアップラボ」2025年度参加校について

 

探究先進校・福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校から学ぶ

今回の研修は、福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校(以下、ふたば未来学園)で実施されました。

ふたば未来学園は、2011年の福島第一原発事故で大きな打撃を受けた福島県双葉郡で、2015年に開校した学校です。開校にあたっては、子どもたちや地域住民を含む多様なステークホルダーたちと対話を重ね、地域の未来をつくるのに必要な学校の在り方を検討し、探究学習に注力することを決めた背景を持ちます。

今回の研修では、カリキュラム開発の軸ともいえる「育みたい生徒像、資質能力とは何か」を学校ごとに検討します。開校から現在までの歩みの中でふたば未来学園が育んだ知見を参加校に還元することをねらい、ふたば未来学園にて研修が行われました。

※カタリバによるふたば未来学園の支援について、詳しくはこちらをご覧ください。

ふたば未来学園建学の精神「変革者たれ」

ふたば未来学園 對馬俊晴校長
ふたば未来学園に開校初年度から関わり、他校での教頭も歴任し、4月より同校校長。

研修の冒頭では、ふたば未来学園の對馬校長よりご挨拶をいただきました。「開校当初、どういった生徒を育みたいかを地域の方々と共に検討した。その経験をみなさんにお伝えできるかと思います。」とお話しくださいました。

探究推進を実践してきた教員による親身なアドバイス

對馬校長からのご挨拶のあとには、企画研究開発部の林裕文先生にもご参加いただき、参加校の先生方からの質疑にお答えいただく時間を設けました。

「生徒から、学校外で活動したいと申し出がある。授業時間内だけでは完結しない内容などもある。どうにか実現させたいが、どうしたらよいか。」
「校内の他の先生方の納得度をあげ、共通の教育目標をつくっていくことに悩んでいます。」

参加校の先生方からは、本気で探究推進を目指すからこその課題感に満ちた質問が続きました。對馬校長・林先生は、これまでの経験なども踏まえ大変親身にお答えくださったり、時にはアイディアを共有してくださったりしました。参加校のみなさまも前のめりにお話を聞いてらっしゃる様子でした。

 

【ふたば未来学園の事例からの学び】

 

1.校内における教育目標の共通理解をつくり、先生方の納得度を上げていく

-開校当初から大切にしている「変革者たれ」の理念を年度当初に共有。年度途中にも月次会などで逐次教員間の目線合わせを行うことで実現している。

 

2.生徒の校外での取り組みを後押しする仕組み

-探究の時間外における校外での取り組みに関しても、部活と同様に公欠を出す仕組みや、取り組みを許可する判断基準の整備を行うことで、生徒の活発な取り組みを後押ししている。

 

3.取り組み内容だけではなく、プロセスの中での学びや変容にも着目したリフレクション

-取り組みそのものを振り返る「プロジェクトリフレクション」だけでなく、自己のあり方を振り返る「マイリフレクション」も意識した伴走を行う。生徒自身の言葉を引き出すこと、また、揮発性の高いそれらの言葉を残すことに教員が関わる必要がある。

 

ふたば未来学園 企画研究開発部・林先生

「未来創造探究」の授業を見学。育みたい生徒像をより明確に。

ワークショップを通じて育みたい資質能力を検討した後には、ふたば未来学園で行われる総合的な探究の時間「未来創造探究」を見学。探究先進校の実際の生徒の姿を見学しながら、育みたい生徒像や伴走の在り方をより明確にイメージする時間となりました。

ふたば未来学園の探究の授業「未来創造探究」の様子

参加校の先生方は未来創造探究に取り組む生徒たちと直接言葉を交わし
伴走のあり方について理解を深めたり、育みたい生徒像のイメージをふくらまします。

「育みたい資質能力・生徒像とはどのようなものなのか」学校ごとに検討するワークショップを実施

研修の後半では、各校で育みたい資質能力や生徒像について、いくつかのワークショップを通じて検討しました。

①資質能力例が記載されたカードを使い、自校で育みたい資質能力を検討する

「地域や同僚の先生、生徒に事前に行ったインタビューで聞けた内容を踏まえると、この資質は必要かな、そうではないかな。」

「これからの社会を生きるには○○な力がすごく大事かなと。その中でも……。」

ゲーム性に富むワークショップということもあり和やかな雰囲気の中でしたが、参加校のみなさまは自校の生徒に思いを馳せながら、育みたい資質能力について真剣に検討されていました。

②資質能力を身に付けた生徒の姿を具体的にイメージする

資質能力を身に付けた生徒の姿を絵や写真を用いて表現

イメージした具体の生徒像から資質能力の本質を検討し
資質能力を言い換えるワークショップ

育みたい資質能力に関して合意形成ができても、それを身に着けた生徒は具体的にどのような姿なのかの認識がそろわないと、その後つくられるカリキュラムに乖離が生まれててしまうことがあります。そこで、今回の研修では、育みたい資質能力の検討からさらに踏み込み、その資質能力を身に付けた生徒とは一体どんな姿なのかを具体的にイメージし、先生方同士ですり合わせるワークも実施しました。

ファシリテートするカタリバスタッフからは「”自校の〇〇さんがこうなった状態”をイメージするのがポイントです」と説明があり、参加する先生方からは「うちはこんな環境にある学校で、こんな生徒が多い。こういった生徒たちが社会で生きていくには…。」というようなお話が聞かれました。

③資質能力を支える学びの在り方を考える

ワークショップの最終盤では、これまで検討してきた資質能力を育むには、どういった学びの在り方が必要かを検討しました。学びの在り方のコンセプト例が記載されたカードを用います。

 

ワークショップではふたば未来学園企画研究開発部の林先生も
参加校の先生方に積極的にお声掛けくださいました。

参加者の声

 

研修のグループワークの内容がよく、管理職を交えて話したことで、探究に関しての認識の差を確認できる良い機会となった。
先進校の校内の設備や探究活動の様子の見学も有意義なものであった。

 

ふたば未来学園に実際に足を運び、授業を参観し、生徒の生の活動(授業)を見れることができよかったと感じています。なかなか普通の研修においては、実戦発表を聞くだけになってしまうことが多い中で、生徒に実際に生の話を聞くことができた。
また、カリキュラムについて考えていく中で、他の学校の先生方も同じような悩みを抱えていることが多く、自分たちの学校だけではないのだなと感じ取ることもできました。

 

ワークショップの組み立て、ふたば未来学園のこれまでの取り組みについて、全て勉強になりました。ふたば未来高校が特別な仕立てだとしても、同じ公立として明るい展望を抱くことができました。

 

自校の生徒にどのような力を身につけさせたいのかを改めて見直すきっかけとなり、探究の方向性や指導方針を再考する良い契機になりました。

 

学校で育てたい生徒の資質能力など、具体的に手を動かして、頭を働かせて、同じ学校の先生方と考える時間が取れたことがよかった。また、考える方法や手順を体験できたこともよかった。

 

どのような資質能力、どのような生徒を育みたいのかイメージした今回の第一回研修。
次回の第二回研修では、第一回研修でイメージしたゴールを達成するためのカリキュラム作りに取り組みます。

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