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02/17更新版

2026.02.17

  • #レポート

生徒の変容を目指し、対話で磨く「自校ならでは」のカリキュラム。「探究スタートアップラボ」2025年度第2回研修レポート

「このような長時間をとって、カリキュラム作成の話をする機会がなかなか無いため、非常に良い時間を過ごすことができました」ー。(参加された先生の声)

2022年度から高等学校で「総合的な探究の時間」が必修化され、3年目を迎えています。NPOカタリバでは、2024年度より全国の高校を対象に、「総合的な探究の時間」のカリキュラム開発研修「探究スタートアップラボ」をスタート。

探究学習の伴走やカリキュラム設計、校内での推進体制づくりに課題を感じている高校やその教員に、全国の先進校から生まれた知見と年間を通じた伴走支援を提供しています。

探究スタートアップラボの詳細はこちら

このたび、2025年度の第2回対面研修が、2025年11月8日(土)、桜美林大学 新宿キャンパス(東京都新宿区)にて開催、全国から14校が参加しました。

研修がスタートして2年目となった2025年度は、新たに採択された10校(以下、新規校)に加え、24年度から継続して4校(以下、継続校)が参加しています。今回は合同での実施となり、新規校は各校これまで議論してきた「育みたい資質能力・生徒像」をふまえ、「3か年カリキュラムのたたき台の作成」へ、継続校は「昨年度の研修を通じて開発したカリキュラムのアップデート案作成」に取り組みました。

 

生徒の変容につながるカリキュラム作成を目指して

理想のカリキュラムを掲げても、現場に戻れば「具体的にどう動くか」の壁が立ちはだかります。また、推進の重圧を一人で背負う先生も少なくありません。

今回の研修では、「具体的な実践知の共有」「学校を越えた対話」「サポーターとの壁打ち」の3つを通じ、実際の運用をイメージしてカリキュラムの作成ができるよう設計されました。

1.先生方同士の学び合い

研修の冒頭では、継続校から新規校に向け、「昨年度の取り組みを通じて生まれた変化」や「開発したカリキュラムを実際に運用してみて生じた課題と改善点」、「カリキュラム開発時にもっておいたほうがよい視点」などが共有されました。

振り返りを共有する継続校の先生

研修の学びを実践しているフェーズにある先輩校の具体的な視点は、これからカリキュラムのたたき台を作成する新規校の先生方にとって、非常に示唆に富む有益なものとなりました。

「課題設定の時間は2時間では足りなかった」「生徒のイメージが甘かった」といったリアルな反省や改善点が語られるたびに、新規校の先生方は熱心にメモを取り、自分の学校ならどうするかといった具体のイメージを膨らませていく様子が見られました。

真剣に耳を傾け、メモをとる新規校の先生

また、新規校の先生からは「ほかの教員をどう巻き込むか」といった推進体制の悩みが寄せられました。これに対し、継続校の先生からは「まずは目の前の生徒への伴走をどう充実させるかであり、小さな成功を積み重ねていくことが大事。その姿を見せることが、結果的に周りの先生方を動かしていくことに繋がります」というアドバイスが送られました。

生徒主体で推進していくという視点は、カリキュラム検討の軸を確認する重要なヒントとなりました。

継続校の先生へ質問を寄せる新規校の先生

この時間は、新規校と継続校で経験値は異なるものの、同じ志を持つ仲間としての学び合いの場でもありました。継続校の先生方にとっても、新規校からの率直な問いや感想に触れることで、自校の取り組みを客観視し、次なるアップデートへの内省を深める機会となっていました。

 

2.対話で磨く“自校ならでは”のカリキュラム。外部視点でより具体的に

後半は、新規校と継続校に分かれ、それぞれのフェーズに合わせたカリキュラム検討に没頭しました。

【新規校】「自校らしさ」をふまえ、3か年計画を順序立てて組み立てていく

新規校のワークは、自校や周辺地域の特徴を再認識することからスタート。各自が考える特徴を付箋に書き出し共有することで、「専門性を持つ教員の活用」や「地域資源との連携」など、その学校だからこそできるカリキュラムのアイディアが膨らみました。

付箋を出し合う先生方

抽出した「自校らしさ」を土台に、3か年カリキュラムの具体案作成へと進みます。「育てたい生徒像」から逆算し、学年ごとの到達目標や活動内容をワークシートへ落とし込んでいくプロセスを通じて、探究活動の流れをどのように作っていけるとよいか、チーム内での対話を深め、カリキュラムを形にしていきました。

事務局からカリキュラムを考える視点のインプット

カリキュラムを話し合う先生方

3か年カリキュラムに落とし込んでいく様子

【継続校】生徒の変化を起点に、カリキュラムをアップデート

昨年度からの継続校は、1年間の実践で見えた課題を元にアップデート案を作成。ワークの冒頭では「次のフェーズとして、生徒の姿が変わっていくことが、校内の機運醸成につながっていく」という視点が示されました。

「理想の生徒の姿に対して、どこに”てこ入れ”が必要か」「その段階における伴走のポイントはなにか」といったより具体的な議論が展開されました。

運用しているカリキュラムをもとに話し合う先生方

【新規校・継続校】専門家・他校からのフィードバックが精度を高める

今回の研修には、NPOカタリバのスタッフに加え、外部のアドバイザーがサポーターとして参加。複数回にわたるフィードバックの機会が、精度をより高めていきました。

サポーターの中村 怜詞先生(島根大学大学教育センター准教授)

サポーターの今村 亮さん(教育コーディネーター/株式会社DISCOVERY STUDIO代表取締役)

サポーターの酒井 淳平先生(立命館宇治中学校・高等学校教諭)

フィードバックは回を重ねるごとに、より具体的な内容となり、フィードバックをふまえて、計画はより精度の高いものへと磨かれていきました。

また、参加校同士でも、議論が煮詰まると、自然と他校のブースへ足を運び、ヒントを探しに行く姿が見られたり、最後に行われた参加校同士の共有の場では、お互いの案をよりよくするための具体的な質問や提案が寄せられていました。

各校作成した内容を共有する様子

7時間にわたり、理想のカリキュラムを追求して交わされた喧々諤々の議論。ワークを終えた会場には、達成感とお互いの健闘を労う温かな空気が流れ、今後に向けた前向きなエネルギーが満ち溢れていました。

研修最後にお互いを労う様子

 

3.参加者の声:研修を通じて生まれた「自信」と「連帯」

研修を終えた先生方からは、カリキュラムの改善に向けた手ごたえだけでなく、推進体制の変容や自身のマインドの変化についての声が寄せられました。

1.何をすべきかが明確に

・「実際に自校のカリキュラムを見直しアドバイスを受けることができ、具体的に何をするべきかが明確になった」

・「あまり明確に見えていなかった目標やゴールが見えてきたことで見通しがたち、より前向きに『総合的な探究の時間』に取り組めそうです」

・「カリキュラムを作り上げたこともさることながら、そのためのプロセスや手法そのものが学びになりました」

2.孤独な推進から、チームでの推進へ

・「探究主任をしていると相談できる相手がいないので、このようにサポート頂ける機会はとても充実したものとなりました」

・「普段学校では中々言えない本音の部分をたくさんの先生方と話すことができ、やりたいことや目指していることの確認が取れたのが良かった」

・「普段忙しくて気づかなかった他の先生の良さや考えを知ることができた」

・「『先生は一人で計画を作ってきたんですよね。本当に大変だったと思います』と言われた。……気づかってくれる人が校内にできて、あらためてチームができたのだと感じた。」

3.自校だけでは得られなかった越境による学びや刺激

・「アドバイザーからの助言や採択校での取り組み、各校の先生方のご意見などを踏まえて、より本校の実態や特徴にあったカリキュラムのたたきができた」

・「さまざまな先生方の話を聞き、参考にしたい、取り入れたいと感じる取り組みや活動が多くあった。同じ志を持つ先生方がこんなにもいて、切磋琢磨できる環境は素敵」

4.先生自身の前向きな変容にも

・「創り上げていく難しさはありますが、それを楽しいと思えるようになったのが収穫です」

・「色んな価値観、考え方、視点に触れながらカリキュラムを考えていくことができ、とても来年度が楽しみになった」

・「知的エネルギーの補給となっています。自分の成長を感じることができました」

 

4. サポーターからのコメント:「学校現場にありそうでない貴重な場」

サポーターを務めた酒井先生(立命館宇治中学校・高等学校)からは、この場の価値について次のようなコメントをいただきました。

▲酒井先生

「一旦学校教育目標などを押さえているという前提にはなりますが、やっぱり具体のカリキュラムを作るには何単位、何コマあることが分かっているので、こういう風になってほしいなという最後の姿から逆算してカリキュラムを積んでいく形が重要です。

今日の場のように、ほかの学校の方やサポーターといった普段とは違う方もいるなかで真剣にカリキュラムについて対話する場は、学校現場ではありそうでない貴重なものだと思いました。」

また、研修後の現場を見据えたエールも送られました。

「学校に戻れば、研修通りにいかないことばかりで壁にぶつかることもあると思います。でも、ここでできた横のつながりもありますし、周りを変えようとするのではなく、まずは自分ができる一歩を今日のチームで踏み出してみてほしいです。それが結果的に、教員人生の中でも大きな意味を持つことになるのではと思います。」

次回は、半年間を振り返る「学びの祭典」へ

この第2回研修は、何か知見をただ受け取る場ではなく、参加校の先生やサポーターの方みんなで対話しながらアイディアを一緒に生成していった場となりました。これからは、そのアイディアをもとに、さらにバージョンアップした次年度計画を作成していくことになります。

今年度の締めくくりとなる第3回研修は、2026年3月20日(金)、「全国高校生マイプロジェクトアワード2025 全国Summit」と同会場で開催されます。

自ら探究を深めてきた生徒たちの姿に触れながら、先生方もこの半年間の実践を振り返り、共に学び、応援しあう「学びの祭典」となることが期待されます。

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