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マイプロジェクト

地域Summit

2020.12.3

マイプロジェクトアワード出場者インタビュー 「アワードを越えて見えたこと」

 

今年も全国高校生マイプロジェクトアワードの季節がやってきた。北海道から沖縄まで毎年多くの高校生が参加し、一人一人の個性が詰まったドラマを見せてくれる。

マイプロジェクト(マイプロ)に取り組む高校生にとって一つの節目であるアワードは、一体どんな意味をもつのだろうか。

高校生は、出場してどんな思いを持ったのだろう。

アワードのその先どんな道を歩んでいるのだろう。

当時高校生だった彼らに聞く「あの時」と「今」。

 

 


 

 

登場人物の紹介

過去のアワードに出場し、現在はマイプロジェクト事務局で学生インターンとして活躍する3人。

 

上地周:多くの高校生と様々なテーマについて話をしてみたいと思ったことをきっかけに、地元沖縄で「おしゃべり会」を継続的に開催。毎回テーマを変え、80回以上行った。マイプロジェクトアワードには2015年、2016年の2度出場。

 

鈴木日菜子:学生団体HIDAKKO PROJECT.を設立。まずは自分達が地元の魅力を知り、それを地元の中高生に発信すること、またこれを通して学生の視野を広げることを目的に活動をした。フリーペーパーを発行し、市内の中高生に配布。さらに、地元では触れることが難しいような面白い人を呼び講演会の開催も行った。2017年のアワードに出場。

 

廣瀬久実:一緒に活動していた友人との共通意識として地元山梨に何か貢献したいとプロジェクトを始めた。⼭梨の隠れた特産品である「⻄嶋和紙」を紹介する手作り和紙づくりワークショップを、⼭梨とブラジルで開催。⼿作り和紙の作成の他にも、習字や茶道などを共に行い、言葉が通じなくても体験を通した交流で⽇本や⼭梨の魅⼒を紹介した。2016年のアワードに出場。

 

 


 

 

Q:まずは皆さんのマイプロ、もしくはアワードとの出会いを教えてください。

廣瀬:実は元々活動をしていたんです。ただ、自分のやっていることをマイプロとして意識するようになったのはアワードに出てからですね。「マイ」という軸に気づいてからです。

 

鈴木:私も同じように活動はしていました。それからアワードのことを知りましたが、岐阜に住んでいた私は、東京や大阪であるものだから行けないだろうと思ってそれ以上意識することはありませんでした。でも高2の時に別の大会で賞を取ってから、こんなふうにたくさんの人の前でプロジェクトを発表したい、評価してもらえる場所に行きたいと思うようになり、アワードに応募しました。もっと自分のプロジェクトを知って欲しいと思ったのが大きいですね。

 

上地:5年ほど前にあった九州カイギ(カタリバが主催するマイプロジェクトスタートアッププログラムの一つ)が始まりです。もっといろんな高校生と話したいという気持ちがずっとあって、Facebookの広告で見つけたのをきっかけに参加しました。地元沖縄に帰ってから活動を始めて、アワードまであと半年という時期だったので、それまで頑張ってみようとアワードへの出場を一つの目標にしました。

 

 

Q:実際に出場して最初に感じたことは?

廣瀬:全国Summitで他の高校生の発表を聞いて、正直自分たちのプロジェクトに自信がなくなりました。何かを開発したり実践したりという力が強い他のプロジェクトを見て「そこまで自分たちはできていない。どうせ…」と思っていた部分もありました。一目でわかるアクションの大きさに意識を取られていたんだと思います。悔しさよりも「だよね、すごい高校生っているよね」という感情が大きかったです。

 

鈴木:当時は競争心の塊でしたね(笑)。大学受験にもつながる、プロジェクトを評価してもらえるという思いで参加したし、正直全国Summitにも行けると思っていたのに、地域大会(当時)では選ばれなかったんです。なんで選ばれなかったのか教えて欲しいと事務局にメールを送ったこともありました。結局最後は全ての参加者の中から選ばれる「全国枠」(当時)として出場できることになったのですが。行くまでは楽しみだったけど、行ってからは「一度は選ばれなかった」という事実と1人で挑む心細さで押し潰されそうでした。それを払拭するようにアワードでは何がウケるのか、求められるのかを考えてしまいました。原稿もスライドも作り直して、自分の言葉にならないまま発表。もちろん代表に選ばれることはなく…悔しいという気持ちはあるのに泣けなくて、自分は頑張ってこなかったということなのだろうかと悩みました。

 

上地:1年目の出場時はプロジェクトを始めて4ヶ月だったこともあって、悔しさもあまりなかったです。一緒に頑張ってきた友達は全国サミットまで進出していたので少し複雑な気持ちもありましたが。

むしろ1年目の結果を踏まえて次の1年も頑張っていたからこそ、2年目は全国Summitまで行けずショックでした。初めて人前で泣くくらいには悔しかった一方で、もっと他の高校生の発表を見たい、学びたいという気持ちも強かったんです。なので、その年の全国Summitにはボランティアスタッフとして参加しました。

 

▲高校時代の鈴木(前列左から3番目)

 

Q:アワードを通じて心境の変化などはありましたか?

鈴木:正直まだ悔しさはあります。でも、だからこそ今もこうしてマイプロに関わっているんだと思います。悔しいだけではないものになったのは、進学を考えた時でした。プロジェクトを振り返る中で、自分のやってきたことに自信を持てるようになりました。

そして、今までのプロジェクトではできなかったことも活動としてやってみたいと思い、「ひだ!高校生会議」という新しい団体も設立しました。

アワードにはボランティアスタッフとして参加するようになりましたが、勝ち負けではないものをつくろうとしている大人をみて、勝負だけの場ではなかったのだと気づきました。

 

上地:まだ悔しさはありますが、この感情も持ち続けたいと思うようになりましたね。

アワードにボランティアスタッフとして参加した際、最後の振り返りでパティシエと弁護士になるという夢をみんなの前で発表したんです。

マイプロとアワードの2年間をしっかり噛み締めたからこそ、次の自分のマイプロに取り組みたいと感じたのだと思います。

 

廣瀬:振り返りの時にすごく泣けてきたのを覚えてます。自分たちの集大成としてアワードに出ると決めていたので「これで終わったんだ」という気持ちと、ここまでこれて嬉しい気持ちと、悔しい気持ち……いろんな感情でいっぱいになりました。

発表が終わるまでの、周りはライバルだから良いこと言わなきゃ、と自分を取りつくろっていたものが剥がれ落ちました。

そのままの感情を吐き出せる場だったのも大きいです。1人で振り返る時間で「悔しい」も「よかった」も見つめることができたし、それを言語化する中で気づいたこともありました。

その時初めて、負けたはずなのに達成感を素直に感じることができましたね。

それと、上地くんのように全国Summitには行けなかったけれど、こういう形で参加してきている子たちがいると知って、もっと涙が止まらなくなりました。自分は勝負だけしか見えていなかったんだと。「学びたい、刺激を受けたい」という気持ちを持った高校生の存在に気づけたことも、素直に振り返りができたきっかけです。

 

▲高校時代の廣瀬(前列左から3番目)

 

Q:マイプロは、進路選択や今行っていることにどんな形で影響していますか?

上地:進路を選べたのは、マイプロを通じてパティシエと弁護士になるという目標を見つけたからです。体裁とか、なんとなく大学進学という選び方ではなく、自分のやりたいことのために学ぶんだ、という芯が持てたと思います。

 

鈴木:進路自体は中学3年生の頃から今の大学と決めていたんです。大学でやりたいことを考える時には、マイプロでの経験が活かされました。マイプロを通して視野が広がったこと、たくさんの人に出会えたことから、自分の中で人材教育という軸が生まれました。特に今は、若者がチャレンジしていく環境をつくりたいと思っています。インターンとしてマイプロに関わっているのも、地元にそんな環境をつくるための行動の一つです。今やっていることはもちろん、これから手を伸ばしていくものにもマイプロがつながっていく気がします。

 

廣瀬:学部選びにはマイプロでやってきたことが影響しました。アワードに出る前にじっくり振り返って将来のことを考えた時に、教育の道に進みたい、文化についてもっと学びたいと思うようになり、最終的に大学では日本語日本文化学類を専攻しました。

高校時代、活動する中でマイプロに取り組む高校生が少ないと感じたこともあり、今はマイプロ高校生を増やせるような先生になりたいと思っています。

卒業論文も、マイプロでずっと見てきた山梨の地域活性について書く予定です。マイプロで学んだことを振り返って、今の自分なら何に着目するかという視点を持てるようになりました。

 

Q:今振り返って、皆さんにとってのマイプロジェクトアワードとは?

上地:やりたいことをやる、方向転換をしてもいい、というある種の自由さを学びました。実は今、これまでやってきたこととは別の方向に進んでみようと考えていて、そう舵を切れたのも、試行錯誤しながらマイプロに取り組んできたこと、同じように自ら選択し行動し続ける仲間たちを見てきたからこそです。いろんな分野にいる高校生たちが集まって1つの場で学ぶというのもアワードの価値だと思います。

 

鈴木:価値観や視野が広がる、自分自身に大きく影響を与えた場でした。地方に住んでいた頃は、活動していることがあまりいい目で見られなかったんです。でもアワードに出て、同じような経験、想いを持っている人がいるということを知れたのはとても心強かったです。時間がかかりましたが、勝負だけが全てじゃないことにも気づきました。アワードで出会った大人の人たちが自分の想いを引き出してくれる中で、自分でも初めて気づく感情や考えに出会えました。

 

廣瀬:進路選択につながる振り返りの機会でした。自分は何をやってきて、何を考え、どんな変化があったのか、今何を思っているのかを見つめ直すことができた。大人や他の高校生からの刺激も重なって、自分の持つ軸がより明確に成長したように感じます。ターニングポイントでしたね。

 

▲高校時代の上地

 

Q最後にアワードに興味を持つ高校生に一言メッセージを!

上地:面白い人、刺激になる人に出会える場です。ここでの出会いがきっと力になるので、ぜひ参加してみてください!

 

鈴木:まずやってみよう!少しでも気持ちがあるならトライしてみるといいと思います。そこから得られることが絶対にあります。

 

廣瀬:今までの自分を振り返ってこれからの自分を考える1日を、アワードに集まったみんなで一緒につくってみるのもいいかもしれませんね!

そんな場に興味がある人はいい時間が過ごせると思いますよ。

 

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