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マイプロジェクト

地域Summit

2021.4.15

マイプロ高校生の取り組み紹介! N/S高・第2弾(伊藤さん、小林さん)

マイプロジェクト(マイプロ)に取り組む高校生たちの活動と、その中で抱いた想いに触れる特集。元マイプロ高校生の末本が、マイプロ高校生の声を不定期で紹介していきます。

 

「ネットの高校」として近年存在感を放つN/S高等学校。通信制高校とネットの強みを活かした授業や、幅広いプログラムを持つことで知られている。そんなN高に、課外授業の一つとしてマイプロジェクトの立ち上げから実践までを行うプログラムがある。

 

課外授業という入口から生徒がどのようにマイプロジェクトを広げていったのか、第1弾と第2弾を通して4人の生徒から話を聴いてみる。

 

 

今回の第2弾は、プロジェクトを始めて1年目の2人。
「動物の殺処分ゼロへ」をテーマにフリーマガジンの作成やInstagramでの情報発信などに取り組む伊藤さんと、「性別に関わらず自分でいられる世界へ」をテーマにジェンダー平等に関する情報発信やイベント開催に取り組む小林さん。

 

 

初めてプロジェクトに取り組んだ2人がこの1年で感じたこと、考えたことはなんだろう。

 

Q:課外授業であるN高マイプロに参加した理由はなんですか?

伊藤(以下、敬称略):N高からの案内メールが最初に知ったきっかけです。マイプロジェクトアワードのことについてもそこで知りました。たくさんの人の前でマイクを持って、自分のやりたいことや好きなことをプレゼンできたら楽しそうだなと思いました。以前に障害者乗馬のボランティアをしていて、馬や障害者乗馬の関わりについてのプレゼンしたことがあるんです。その時に人の前で話すのって楽しいと感じていたので、マイプロに参加したらもっとプレゼンできる機会も増えるのかなと思って参加を決めました。3年生なので高校生活最後に、いろんな人と関わってみたいと思ったことも大きいです。

 

小林(以下、敬称略):知ったのは1年生の時で、担任の先生に勧められました。
でも当時は、私はプロジェクトをできる自信がなくって断ったんです。
その後、2年生になるはずだった年に1年休学してデンマークへ留学行きました。
留学は途中コロナの影響で強制帰国することになってしまいましたが、留学中に自分から動くことができるようになったことと、帰国後にやることが無かったので何か行動したいと思って参加しました。

 

 

Q:PJのテーマに行き着くまでにはどのような経緯がありましたか?

伊藤:もともと私は乗馬をしているのですが、乗馬クラブの馬が競馬の引退馬だったんです。引退馬は馬術クラブとか馬術部に行くことが多く、他にも選択肢があるのか調べて行ったところ、多くが殺処分や屠畜など行き場を失ってしまうことを知りました。それから身近な犬とか猫とかってどうなんだろうなって自分の中で疑問が出てきて、いろんな動物が日本では殺処分されてしまってるって現状があることに驚きました。どうにかこの社会問題を解決したい、私も少し手助けみたいなことができないのかなと思うようになりました。その解決の第一歩として、一匹一頭でも大好きな動物の生活の場所を守りたい、問題を自分と同年代の人に知ってもらいたいとこのテーマに決めました。

 

小林:元々ジェンダー平等には興味があったことと、政治や社会参画に対する日本のティーンの問題意識の低さに怒ってたんです。そんな自分の怒りを行動に変えたいなと思ってました。というのも、小さい頃から「女性らしさ」の縛りに窮屈さを感じていたんです。水色のランドセルが欲しかったのに「女の子だから」という理由で赤のランドセルを強く勧められたり、「『女子のくせに』ガサツ」だと言われたり。
そういうことが絡まり合って生きづらかったなと思います。自分の人生と繋がっているからこそ「ジェンダー平等」がテーマになりました。

伊藤さんの作成したフリーペーパー

 

 

Q:プロジェクトに取り組む中で印象に残ってる事、嬉しかったことは?

伊藤:フリーマガジンを手に取ってくださった方から実際にInstagramやホームページにアクセスして応援メッセージを送っていただいたことですね。
殺処分問題で自分もできることも探すと言ってくれた方や、一緒に殺処分問題を広めてくださる方も増えてきました。フリーマガジンの設置を手伝ってくれたり、こういうこともあるよーと情報提供とかいただけて嬉しいです。今は32都道府県70箇所にフリーマガジン置かせてもらっています。
N高のキャンパスにも置かせてもらったんですが、そこでたまたまフリーペーパーを手に取ってくれた生徒が関心を持ってくれて自分のプロジェクトに入ってくれました。今は1人で活動していますが、今後広げていきたいと考えているのでメンバーが増えるのは嬉しいです。

 

小林:オンラインイベントを行った時に、申し込んでくれる人がいるっていうだけでも嬉しかったです。1回目のイベントから10人以上参加して頂いて。そのイベントで仲良くなった人もいて、ちょっとずつ繋がりが出来てきました。一人で活動してる分やっぱり孤独だなって思う時もあるので楽しかったです。
ルッキズムなどジェンダー平等に関するディスカッションイベントを行いました。イベントの最後に、「社会を変えるにはまず自分の行動とかや考えを変えていくことだ」、「社会にある『こうあるべき』を壊したい」という感想が出たことも良かったですね。

 

小林さん(写真左上)の開催したオンラインイベントの様子

 

 

Q:難しかったこと、苦労したことありますか?

伊藤:取材先にアポイント取るのが一番難しかったです。最初の頃は犬とか猫とかのカフェや保護団体さんにメールとか送ったんですが、返信が無かったり思ってたのと違う回答が来たりすることがありました。それからは、自分の思いをしっかり伝えられる文面か見直したり、初心に戻って自分はなぜこの殺処分をテーマにしたのか考えました。自分にとっては「馬」がスタートだったので、馬関係の団体などを中心に再度取材先を探し、インタビューまで行うことができました。

 

小林:イベントの参加者の方に、ジェンダー平等はなぜ必要なのか、なぜ大事なのか全くわからないという意見をもらうこともありました。
自分が思っていることがうまく伝わらないこともあるし、ジェンダー問題に対しておかしいと感じたことのある人と無い人の認識って結構違うんだなと感じました。
言葉にしても伝わらない時もあるけど、言葉にしないと対話ができない。分かり合えない時にどう近づくかに悩まされました。

 

小林さんの作成したフリーペーパー

 

 

Q:マイプロを通して自分自身の変化はありましたか?
伊藤:自分の考えや理念を人に伝えることで、感謝してくれる人、応援してくれる人が増えることを実感します。初めは、社会問題に関心あったけど動き出すきっかけもなくて、ただ「関心がある」で止まっていたんです。行動に移せたのはこのマイプロが初めてでした。自分のやる気や行動力、行動を起こす勇気が持てるようになったことが大きな変化ですね。

 

小林:1つ目は学生団体に所属したり、いろんなことに積極的に参加するようになったことです。
2つ目は自分を知ったこと。今までは「ガス欠するまでも走り続けるぞ!」というタイプだったのですが、それだけでは自分を追い詰めてしまいやすいことにも気づきました。自分なりにバランス取る方法をとかを考え始めて、自分に向き合う時間が増えました。
マイプロで自分の外側に向かって行動していくと、自分という内側にも新しい発見があるのは面白いです。

 

伊藤さんのプロジェクトでクラウドファンディングを行った時のもの

 

 

Q:今後のプロジェクトや自分の進路について考えていることを教えてください。
伊藤:最初は、自分の中やりたいことが全然分からなくて、ただ思っていたことは「馬が好き」ということ。その「好き」から、自分が何をやりたいのかマイプロを通して見えてきました。社会問題解決に関心があり、昔から学んでいる英語も活かしたいと思い、大学はその両方を深められる学校を選択しました。
今はフリーマガジンやインスタグラムで活動していますが、今後は YouTube で実際に牧場を訪ねたり、馬の魅力を伝えたりしてみたいです。
あとは、サービスづくりにも手を伸ばしたいです。馬に乗れるところってあまり知られていないので、馬と触れ合える場所や情報がパッとわかるアプリなど作ってみたいです。
そこから馬や動物に興味を持ってくれる人を増やせるといいです。
いずれは引退馬のための施設を作りたいとも考えているので、そこに接続するためのひとつとしても今後の活動を発展させていきます。

 

小林:ジェンダーと他の分野を融合させたらどうなるんだろうかと考えています。
今関心を持っている環境や国際政治の勉強に取り組んで、ジェンダーというテーマがどのように他のテーマと掛け合わせられるか見つけてみたいです。
自分と向き合うことも去年から意識しているので、活動と自分の内面を大事にするバランスを取っていきたいですね。
思想が大きくなりすぎるとそれに飲み込まれて辛くなるということもありました。自分の人生の大部分にせず、別の分野との接点を見つけて繋げていくことが自分にはちょうど良いのかもと感じてます。これからは発信だけにとらわれない関わり方を探っていきたいと思います。

 

 

【伊藤さんと小林さんのプロジェクト詳細とメッセージ】

伊藤:自分の「楽しい」や興味があることをとことん掘り下げて、やりたいことにつなげるって事が大事だなとこのプロジェクトを通して感じました。
プロジェクトでは、動物の幸せな未来をつくるための一歩として、ペットショップではなくブリーダーさんから譲ってもらうスタイルを当たり前にしていきたいと思っています。今はペットショップがメジャーだけど、少しづつマインドチェンジしていけるといいなと思います。動物の生活を守りたいという想いを持つ人が増えるといいです。
ホームページ:https://yuriito0727.wixsite.com/animalproject
Instagram:https://www.instagram.com/animal_project__/

 

小林:自分のいる世界の外側を見てみたい、反対に自分の内側、価値観を見つめ直すと自分の生き方がちょっと変わったりするかもしれません。これからマイプロにチャレンジしてみたい人は、ぜひそういう時間を自分のために取ってみて欲しいです。
フリーペーパーのPDFリンク:https://drive.google.com/file/d/14GCrf7HoFfYjP70rUPXUuGMIW4P8ly-J/view

Instagram:https://www.instagram.com/thegenderequalterra/

 

(取材:末本晴香)

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