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マイプロジェクト

地域Summit

2024.4.22

【全国Summit舞台裏レポートvol.2】高校生の学びを深める仕掛け<高校生プログラム編>「気づきに向き合うことで未来は始まる」

 

2024年3月22日~24日に行われた全国高校生マイプロジェクトアワード2023全国Summit(以下「全国Summit」)。

前回は、アワード全体統括を務めるメンバーが、2023年度アワードへの想いについて語りました。(前回記事はこちら

 

そこでも語られた、全国Summitにおける「参加者高校生の学びの最大化」に向けて、運営側は参加高校生の学びを深めるために様々な仕掛けを用意しました。

今回はその仕掛けの一つ、プロジェクト発表の前後や合間に行われた「高校生プログラム」についてご紹介。その時間に込められた意図や担当メンバーの想いについて聞きました。

 

     

    発表と対話だけではない。学びを最大化するためのプログラムとは

     

    参加者全員にとって【それぞれの「未来」につながる「Discovery(発見)」を探し、ロールモデルをともに探す場】を目指した全国Summit。

    参加高校生には3日間を通して、オンライン配信されていた「発表と対話」の時間以外も、プログラムが行われていました。

     

    3日間を通したプログラムでは、【「気づき」からはじまる未来】をコンセプトに、

    ①感情から発見や学びを得る3日間にしよう

    ②自分のプロジェクトのロールモデル性をみつけよう

    を軸におき、プログラムが実施されました。

     

     

    3日間を通じて、自身の様々な感情・気づきに目を向け、学びに変えていった高校生たち。

     

     

     

     

    <高校生>
    ・初めは上手くやれるかだけを考えていて不安や緊張が大きかったのですが、この三日間マイプロだけに、気持ちだけに向き合ったことで自分の探究に対する自信が生まれ、次のアクションも頑張ろうと思いました

    ・感情について考える機会を多くいただけたので、自分と向き合って新しい一面を見つけるきっかけになった。自分に対する考え方も、周りを見る視野も広がった気がする

    自分自身や相手と本当によく向き合った3日間だった。みんなの頑張りが圧力として感じられることもあったが、逆に刺激にもなった。お互いを励まし合って笑って泣ける最高の空間だった。

    今まで自分と向き合うことは難しく、その時その時の感情に疑問を抱くことがあまりなかったのですが、ホームチームやファシリテーターの方々と「今の気持ち」を共有することで、自分のことを深く知ることができ、自分の強みに気づくことができた

    ファシリテーターの皆さんが、私が感じている感情についてどうしてそんな感情になったのか聞いて、一緒に考えてくれました。大人の方からこんなに話を聞いてもらえる機会はあまり無いのですごく特別な時間でした

    感情のコントロールがしづらいとき、今の気持ちがしっくり来てない時、ファシリテーターの皆さんに、その気持ちを伝えると、更にその感情が深まり、腑に落ちることが沢山ありました

    ※ホームチーム:発表グループとは別の、プログラム実施のためのグループ

    ※ファシリテーター:プログラム伴走役の大人

     

    配信が行われていたメインステージ上で、あらゆる学びの姿を示してくれていた高校生たち。

    その裏側には、3日間の高校生プログラムで過ごした時間がありました。

     

    高校生プログラムに込められた意図とは

     

    どんな想いや意図をもって、今回の高校生プログラムは実施されたのか。

    高校生プログラム全体統括・司会を務めた小野寺綾に聞きました。

     

        • 小野寺綾(おのでら・りょう)/NPOカタリバ 大槌高校魅力化・大槌臨学舎事業責任者1991年岩手県生まれ。2015年新卒入職。学生の頃からボランティアスタッフとしてカタリバに参画し、「出張事業カタリ場」プログラム(「高校に社会を届ける」をテーマに、大学生や社会人が高校生と対話をすることで学びを届ける)を計8年にわたって担当。2020年より岩手県の「大槌高校魅力化・大槌臨学舎事業」に従事。かねてから想いのあった地元・岩手県の高校教育に関わり、「教育で魅力的な町をつくる」ことを目指し、大槌町・学校・NPOにおける協働に取り組んでいる。ドキュメンタリーが好き。

     

     

    たとえ実績は残せなくとも、それだけが人生のすべてではない。それを高校生自身が体現できるのがマイプロジェクト

     

    ――マイプロジェクトアワードには2013年の第一回目から運営に携わっている小野寺さん。「マイプロジェクト」にはどんな想いを持っていますか

     

    私は高校生の頃、野球と勉強の文武両道を目指して頑張っていたのですが、野球で思うような結果を残すことができず、受験もうまくいかずという状況にたくさん悩みました。ただ、その中にも「学び」は沢山あったと思える高校時代でした。私はその頃からドキュメンタリー番組が大好きで、番組で特集される「たとえ報われなかったとしても、一生懸命もがいて生きている人たち」の姿に憧れていました。「実績は残せなかったけれど、学びは沢山あった。そして、その学びはこれからの人生でいくらでも生かせるし、いくらでも逆転可能なんだ」って思っていました。

     

    多くの高校生世代は、実績が残せなかったことに「価値がない」と思ってしまいがちだけどそれだけが人生じゃない。勝ち負けが大事なのではなく、そこにどんな学びがあったのかが大事だということを、自身の高校時代から学ぶことができました。それを次世代のこどもたちに伝えられる大人になりたいなと思い、教育を志し、大学生時代にカタリバに出会いました。そして、私がカタリバに出会った頃に事業化されたのが「マイプロジェクト」でした。

     

  • 「マイプロジェクト」は、こうした私自身の想いを、高校生自身が体現できる機会になっていると思います。マイプロジェクトも勝ち負け、規模の大きさが本質ではなく、たとえ、コンテストなどで受賞できなかったとしても、取り組んできたアクションの中にその高校生なりの学びがあるということを大切にしています。そうした経験を「マイプロジェクト」というフレームを通して、各都道府県の地域パートナーと協働して広げていけることに価値を感じています。多くの地域で「その学びが素敵だよね」と高校生に伝えられるのがマイプロジェクト事業であり、アワードの魅力だと思っています。

 

    • また、高校生が一生懸命学ぼうとする姿は、関わる周りの人に刺激を与え地域や社会を動かしていくエネルギーに変わっていく様子をたくさん見てきました。自分の学びが誰かの学びになり、それが変革につながっていくという実感値を得られることも、マイプロジェクトの魅力だと思います。

 

    • 「未知なもの」に出会い「気付き」を生み出すことに振り切った3日間のプログラム

       

      ――今回のプログラムは、どういった意図や想いで作られたのですか

       

      まずプログラムを検討するうえで「学びとはそもそも何か?どんなプロセスで生まれるのか?」ということから考えました。色々考え方はあると思うのですが、私自身は、学びは「差異」から生まれるものだと思っています。例えば、予想していたものが覆された、とか、できないことができるようになった、とか、そういった「ずれ」や「差」、「変化」の中に、「学び」は生まれるのだと思っています。

       

      なので、そういった「ずれ」や「差」を意図的に作ろうと思いました。もう少しかみ砕くと「差」というのは「未知なものにいかに出会うか」ということ。このプログラムに参加しなかったら出会えなかった自分とか、気づかなかったロールモデル性とか、「未知なものに出会える3日間」を土台として、プログラムを練っていきました。

       

      私自身、マイプロジェクトアワードの運営には第一回大会からずっと関わっているのですが、マイプロジェクトアワードが掲げる「学びの祭典」という在り方は、毎年議論され続けています。プレゼンの内容やプロジェクトの進め方に対するフィードバックが多かった時期もあったのですが、今年度のプログラムではそれを思い切ってやめました。

 

      • コンセプトを「気づきからはじまる未来」とし、その軸として「自分の感情に気づく」「ロールモデル性に気づく」の2つを掲げました。私は、「深い学び」とはより「汎用性がある学び」ではないかと思っています。高校生が「仮にプロジェクトを辞めても継続して活かせる学び」、「仮に違うテーマでプロジェクトに取り組んでも応用できる学び」といった汎用性がある学びを生みたいと思い、この2つの軸にこだわりました。

     

    • ――プログラム全体のコンセプト「気づきからはじまる未来」にはどんな想いが込められているのでしょうか

    • アワード全体のキャッチフレーズが「わたしからはじめる未来」なんですが、今回のプログラムでは少しニュアンスを変えて、「わたし」→「気づき」に、「はじめる」→「はじまる」に変えているんです。「わたしからはじめる」からは「意志を持って自分から変革する」という強い意志のニュアンスを感じますが、世の中には強い主体性とか強い想いを持って変革できる人ばかりではないと私は思っていて。

 

    • そうではなくて、どちらかというと「自分の中にある気づきに向き合えば未来は始まっていくよ」ということを伝えたかった。明確な意思があってもなくても、自分の中にある気づきに向き合うことで未来は開かれていくというニュアンスにしたかったんです。なので、今回のプログラムの中で高校生には「あなたたちが未来をつくるんだよ」とは一切言わずに、「とにかくこの3日間は気づきに向き合ってほしい。そうすることで、必ず未来ははじまっていくから」と伝え、気づきを得ることに集中してもらいました。

 

      • ――汎用性のある学びを生み出すため、「感情」に着目したのはなぜでしょうか

     

    • マイプロジェクトに取り組む時、「問いの設定」を最初に行うと思うのですが、問いって何かに気づかないと生まれにくいものではないでしょうか。日常の些細なことに気づける「感度」があるかどうかが、問いを生むことに大きく影響すると思っています。そうした考えから、自分の感情に向き合い、何かに気づく感度を高めていってほしいと思いました。

 

    • また、感情は自分の中にあるので、例えプロジェクトを辞めても、テーマが変わっても、その高校生の人生が続く限り生き続けるという考えから、感情に着目しました。

 

    • ――「小さな感情や違和感から学びが生まれる」と気づいたきっかけは

    • 大きく2つあります。1つ目は、高校時代に取り組んだ部活動で、「野球ノート」を書き続けた経験です。「野球ノート」には、日々の練習や試合で感じた気持ちを書き留めていたのですが、その積み重ねが自己理解力の向上につながり、人間として成長させてくれたと思っています。
    • 2つ目は、「カタリ場プログラム」での経験が大きいと思います。私は「カタリ場プログラム」を通して、全国各地の高校生と対話をしてきました。毎回、はじめましての高校生と2時間真剣に話すのですが、その高校生が経験した出来事の背景にある感情に寄り添うコミュニケーションを重ねることで、高校生自身が心の奥底にある「本当は〇〇したい」という思いに気づき、未来に向けて意欲を持つ瞬間に何度も出会ってきました。

 

    • ――もうひとつの軸、「ロールモデル性」とは何でしょうか

 

    • 「自分のプロジェクトにしかない強み」とか「良さ」と言えると思うのですが、もう少し踏み込むと、「他者から見た時に憧れを抱くような自分の強み」といった表現になると思います。だからこそ、ロールモデル性に気づくためには他者視点が入ることが重要で、他者のプロジェクトを見て、「憧れる」「自分のプロジェクトに活かしたい」と思えるポイントが「ロールモデル性」だと捉えています。

 

    • 「未知の窓」を開くためにこだわったプログラム設計

       

      ――感情・ロールモデル性への気づきを生むために、具体のプログラム設計では、どんなことにこだわったのでしょうか?

       

      自分の感情に向き合おうとする時、「何かよく分からない感情」ってたくさんあるじゃないですか。そこにじっくり向き合う時間は確かに尊いのですが、3日間という時間的な制約がある中でいかに深い学びを生み出すのかと考えた時に、自分の感情を言語化する助けになるツールがあるといいなと思いました。そうした考えから、「感情リスト」を使うことにしました。

       

      「感情リスト」とは、私が個人的に学んでいたNVC(Nonviolent Communication:非暴力コミュニケーション)の手法から引用したもので、感情が言葉にされているリストです。これを使い、「今あなたが感じている感情って、リストの中にある感情だとどれに近い?」という問いから入るワーク設計にしました。実際の感情とリストの中の感情に多少ズレがあったとしても、感情を表す言葉があることで、その感情の理由や正体を深堀りしやすくなります。

       

      ロールモデル性も同様に、リストの中から選ぶ形にするために「ロールモデル性はこういった要素があるんじゃないか」というものを、高校生自身から集めてリスト化しました。ワークでは、そのリストの中から自分のロールモデル性はこれなのではないか、というものを選んでもらい、思考したり、語り合うようにしました。

       

       

      また、「差を生む」「未知なものに出会う」ために心理学の領域でよく活用される「ジョハリの窓」の概念を活用しました。

       

      <ジョハリの窓>

       

      <3日間のプログラムをあてはめると>

       

      Day1の前日「Kickoff day」では、自分も他人も知っている自己「解放の窓」の領域を、「Day1」では自分は気付いていないが他人は知っている自己「盲点の窓」と、自分は知っているが他人は気付いていない自己「秘密の窓」の領域を、「Day2」を終えた時点では誰からもまだ知られていない自己「未知の窓」を開けていってほしいといった意図で、各ワークを組みました。

       

      特にこだわったのはDay1のワークです。最終日のDay2で「未知の窓」を開けるためには、その前段階で「盲点の窓」と「秘密の窓」をいかに開けていくかが大事だと考え、Day1下記のような「ロールモデル性の振り返りワーク」と「感情の振り返りワーク」を行いました。

       

        • 【ロールモデル性の振り返りワーク】
        •  1.自分のプロジェクトを、他の高校生に見てもらう。
        •  2.発表を見た高校生は、そのプロジェクトのロールモデル性だと思うものをリストから選び、メッセージカードに記入して渡す。
        •  3.2でもらったカードに書かれたロールモデル性の中で、一番意外だと感じたものを選び、その理由を考える。

       

        • 自分では気づかなかったロールモデル性を他者から教えてもらい、「あの人はなぜこの部分をロールモデル性と思ったんだろう」ということを考えてもらい「盲点の窓」に向き合ってもらいました。

       

        • 【感情の振り返りワーク】
        • 1.自分の感情に近いものを、リストから5つ選ぶ。 
        • 2.その中で、「確かに感じているけど理由を上手く説明できない感情」や「あまり他者には知られたくない感情」を1つ選ぶ。 
        • 3.その感情の理由や正体に向き合う。

         

      自分は知っているけど他人は知らない感情は、ネガティブな感情に多いのではないでしょうか。誰しも、自分の中に確かにあるけど認めたくない、人には言いたくないという感情があると思います。その部分に敢えて向き合ってもらいました。これによって、Day2で未知なる自分に出会うことにつなげてほしいなと思いました。

       

      ――ジョハリの窓の「盲点の窓」「秘密の窓」を開けるDay1のワーク。高校生の様子はいかがでしたか?

       

      沈黙していました(笑)。1日目のKickoff dayと全然違う雰囲気がそこにはありました。1日目はアイスブレイクや自己紹介が中心で、全国から集まった仲間と出会えた高揚感や「楽しい!」といった雰囲気が漂っていました。それも良いのですが、その雰囲気のままで3日間を終えてしまうと、新しい気づきや深い学びは得られないのではないかと思い、Day1では意図的に空気をガラっと変えるように進行しました。その中で、「あえてこの二つ(「盲点の窓」「秘密の窓」)に向き合ってほしい」と伝えたところ、沈黙が生まれ、一気にモヤモヤとした雰囲気が会場全体に漂いました。私としてはその光景が嬉しいんです。まさに、「気づき、考え、学んでいる!」といった様子。いい時間になったのではないかと思います。

       

       

      そうして迎えたDay2では、代表プロジェクト(Day1で発表した48プロジェクトのうち、6プロジェクトが代表プロジェクトとして選出)が発表された後に、Day2サポーター(高校生との対話役)と高校生とのトークセッションがあります。代表に「選ばれた」「選ばれなかった」ということがはっきり分かれるこのタイミングは、高校生の感情が一番揺れやすいと想定していました。この揺らぎを深い学びに変えていくための練習が、Day1のワークでした。高校生たちは、自分の中のネガティブな感情に対して「それは自分にとってどういう意味を持つものなのか?」という問いと向き合う練習をしていたんですね。

       

      実際に、サポーターとのトークセッションでは、高校生たちがそれぞれの結果をちゃんと自分ごととして受け止めて、自分の未来につなげようとする発言が飛び交っていました。第一線で活躍されているサポーターが口を揃えて「いや、もう僕らが言うことないですね」と言っていたほど。まさに3日間のワークの成果だったと感じています。

       

       

      安心安全を土台に、より学びを深め、成長を見守る「ホームチーム」

       

      ――プログラム実施に当たり、発表を行うグループとは別に「ともに振り返り、学びを深めるための居場所」として「ホームチーム」が設けられていました。どんな意図があったのでしょうか?

       

      この全国Summitは学びの最大化を目指す場でありながら、賞が授与されるという性質上、高校生にとってプレゼンは対外試合の場でもあります。プレゼンや、その場で初めて出会うサポーターとの対話に対して、みんな緊張します。中には、いい評価をもらおうと、必要以上に勝負マインドになる高校生もいます。「そうした対外試合の場に向き合うためのエネルギーや勇気をもらえる場所=ホーム(安心安全の場所)を設けたい」という意図から、評価をしない大人・ファシリテータ―を置いたホームチームを設けました。

       

      対外試合で刺激やフィードバックをもらい、時にはモヤモヤしたりもする。そんな高校生たちを、ホームチームのファシリテーターが「よく頑張ってきたね、おかえり」と受け入れ、「どう感じたの」「何でそう感じたの」と問いかけることから、また学びが生まれる。ファシリテーターのみなさんには「安心安全の居場所としての機能を果たしながら、より学びを深めていくための問いかけを行ってほしい」ということを伝えました。

       

       

      ――3日間の最後には、ホームチームのファシリテーターから各プロジェクトへのロールモデル性の表彰がありましたね。この時間にはどんな意図がありましたか?

       

      Day2代表プレゼンに選ばれた選ばれないに関わらず、「あなたのプロジェクトはこれが素晴らしい」ということを大人がしっかりと伝えて、「参加した全てのプロジェクトが学びのロールモデル」ということを、高校生に実感してもらいたくて設定した時間でした。Day2の代表プレゼンに進めるプロジェクトが発表された時間よりも、この時間の方が高校生はみんな号泣していました。

 

    • お互いのロールモデル性を称え合い、泣きながら笑い合っている高校生たちを見て、この時間を設定してよかったと思ったし、ホームチームの価値を一番発揮できた時間だったと思っています。この時間があったからこそ、高校生たちは「また明日から頑張ろう」と思えたんじゃないかなと思います。

    • 自分の成長や学びを自覚し、周りに称えてもらった3日間になったのでは

       

      ――3日間を振り返ってどう感じていますか?

       

      3日間通して、高校生の変化が目に見え、学び、気づきがアップデートされていた印象でした。3日間想定していたプログラムがしっかりハマってくれたのではと思っています。


      私は、高校生の3月はとても重要な時期だと思っています。特に3年生。前述の通り、私の場合は大学受験が上手くいかなくて「何もできなかったな」と思って卒業してしまった3月でした。ですが、マイプロジェクトアワードは、できた・できないではなくて、自分にはこんな学びがあったんだということを認識することができ、かつ、その学びの在り方って素敵だよね、と称えてもらえる時間。頑張ってきてよかったなと思えて新年度を迎えられる。参加した高校生には、自分の成長や学びを自覚し、周りに称えてもらい、いい3日間だったと思ってもらえたのではないでしょうか。

       

      ――特に印象的だった高校生の変化はありますか?

       

      プロジェクトの「社会性」や「成果」に重きを置いて頑張っていた高校生がいました。その高校生から、Day2の代表プロジェクトに対し、「ぶっちゃけあの子のプロジェクトって自分勝手ですよね。でもなんか響いたんです。」「あの子はちゃんと自分の学びや成長を言葉にしていて、その深さは自分にはないってことに気づいた。それも一つのマイプロジェクトの在り方だし、学びの在り方だと僕は気づいたんです。」という発言がでてきたこと。

       

      「どれだけ社会に影響を与えられたかじゃなくて、あなたなりの学びが大事なんだよ」という私たちのメッセージがしっかりと伝わり、新しい学びの在り方に気づき、価値観が変容した事例なのではないでしょうか。

      そんな風に「自分の学び」を持つことが、この変化の激しく答えがない社会の中で、それぞれが協働しながら未来をつくっていくベースになるのではと考えています。

       

      ――最後に、改めて伝えたいメッセージはありますか?

       

      今回私が話したことは、カタリバとしてこだわる「学びの祭典」としてのエッセンスが詰め込まれていると自負しています。僕自身のカタリバでの経験、事業をつくるうえで大事にしてきたこと、それらをすべて、今回のプログラムにつぎ込みました。

       

      全国Summitで見せてくれた高校生の姿は多くの高校生に勇気を与えるのではないかと思っています。今の高校生は、変化の激しい時代の中で「これからの未来をつくる人間になりなさい。課題を解決する人間になりなさい。」と言われ過ぎていると感じます。そんな中で、「気づきからはじまる未来」「気づきに向き合うことで未来は始まっていく」というメッセージで、気持ちが楽になる高校生もいると思います。私自身はこれからも、「自分の中にある気づきに向き合う力が未来をつくる源泉になる」ということを自ら体現し続けたいですし、そうしたメッセージも発し続けたいと思います。そして、そうした思いに共感してくださる方と一緒に、学びの場を創出していきたいと思います。

       

       

      ――次回は、全国Summit舞台裏vol.3<対話編>をお届けします!

       

       

【私たちと共に、全国の高校生へマイプロジェクトの機会を届けませんか?】

    • 全国の高校生にマイプロジェクトを届ける取り組みは、皆様からの貴重なご支援によって成り立っています。
    • マイプロジェクトの機会を継続的に、また1人でも多くの高校生に機会を届けるために、是非皆様からのご支援いただけますと大変ありがたく存じます。
    • ▼ご寄付で応援
      1000円からご寄付いただけます。
    • https://myprojects-join.jp/cheer#donation

  • いただいたご寄付は、
  • ・高校生の学びを深め、加速させる発表と対話の場「マイプロジェクトアワード」の実施および高校生の招待費用(旅費交通費・食事代も含む)
    ・高校生に伴走する教員と共にマイプロジェクトを実践する「学校支援」事業
    ・全国の地域パートナーと共に各地で学びの土壌を作る取り組みなどに大切に使わせていただきます。
  • 引き続きマイプロジェクトへの応援をよろしくお願いいたします。

 

 

(文: 全国高校生マイプロジェクト全国事務局 岩城佳那 加瀬仁美)

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