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マイプロジェクト

地域Summit

2024.5.16

【全国Summit舞台裏レポートvol.3】高校生の学びを深める仕掛け<対話編>「立場を越えて、”想い”と”学び”に向き合い、発見する時間に」

 

2024年3月22日~24日に行われた全国高校生マイプロジェクトアワード2023全国Summit(以下「全国Summit」)で、

運営側は参加高校生の学びを深めるために様々な仕掛けを用意しました。

 

前回は「高校生プログラム」についてご紹介しました(前回記事はこちら)。

 

今回は「サポーターとの対話」についてご紹介します。この対話が、参加高校生にとってどのような意味や変化をもたらすことを目指したのか。

担当メンバーに話を聞きました。

 

「発表」だけでなく、「対話」を通して学びを深める

 

全国Summitでは、参加者全員がそれぞれの「未来」につながる「Discovery(発見)」をして、ロールモデルを共に探す場を目指しました。

「Day1」と「Day2」では、参加高校生によるプレゼンテーションが行われました。そこでは、彼らが取り組みを振り返り発表し、サポーターと呼ばれる「学びを深めるサポート役の大人」と対話が行われました。

 

 

 

今回の全国Summitには、各界で活躍する大人の方々が「サポーター」として参加してくださいました(サポーターのご紹介はこちら)。

さまざまな視点から高校生に問いを投げかけていただいたり、アドバイスをしていただきました。

 

サポーターからの問いかけやコメントを一部抜粋してご紹介します。

  • <サポーターからの問いかけやコメント(一部抜粋)>

     

高校生からは、サポーターとの対話を経て、以下のような声が聞こえました。

  • <参加高校生の声(一部抜粋)>

     

「学びの祭典」であるマイプロジェクトアワードの象徴的なプログラム、「対話」。

参加した高校生は、サポーターとの対話を通じて、新たな気づきや自信、今後への意欲やヒントを得ている様子が見られました。

 

 

全国Summitにおける「対話」に込められた意図とは

 

事務局はどんな想いや意図をもって、今回の全国Summitにおける「対話」を実施したのか。サポーター統括を務めた鈴木胡美に聞きました。

 

      • 鈴木胡美(すずき・くるみ)/NPOカタリバ マイプロジェクト全国事務局
        1991年生まれ、福島県出身。大学入学とともに上京するが、大学2年生の春に東日本大震災が起き、いつかは東北のために働きたいと思うようになる。大学卒業後は新卒で英会話スクールに就職し、その後カタリバが行っているマイプロジェクト事業に関わりたいと考え、カタリバに転職。2016年より女川向学館での勤務を始め、兼任で東北地域のマイプロジェクト事業推進を担当。「東北のすべての高校生にマイプロを届ける」ことを目指し、探究学習の出張型支援を実施してきた。2021年からはマイプロジェクト全国事務局へ従事し、各地でマイプロジェクトを拡げる「地域パートナー」のコミュニティづくりとそれぞれへの伴走における責任者を務める。

 

マイプロジェクトが、高校生が自分と社会を知るきっかけに

 

――マイプロジェクトに惹かれてカタリバに入社したという鈴木さん。まず初めに、マイプロジェクトへの想いを聞かせてください。

 

私が大学2年生の時に東日本大震災があり、福島県出身である私は、いつか東北のために何かしたいと考えていましたが、何ができるのかずっと悩んでいました。

 

その時にマイプロジェクトに出会い、マイプロジェクトで、東北をより良い場所にできるかもしれないと感じ、関わりたいと思いました。

 

その後、東北の高校生にマイプロジェクトを届けるため、学校の先生と協力して探究の授業を提供したり、各地域の社会教育の大人たちと一緒にマイプロジェクトのプログラムを実施したりしながら、高校生に伴走してきました。多くの高校生がマイプロジェクトを通じて成長する姿や、地域に活気をもたらす様子を目にしてきました。

 

関わり始めて7年が経ち、東北から全国に活動のフィールドを広げた今、改めてマイプロジェクトが高校生にとって自分と社会を知るきっかけになればと願っています。

 

自分を起点にやりたいことや取り組むことを決め社会や他者と繋がり対話する経験が、その先の人生を豊かにし、より良い社会を築くことに繋がると信じています。

 

 

「評価をするための質疑」では生まれない、「対話」だからこそ生まれる「学び」

 

――マイプロジェクトアワードの「対話」には、どんな意図や想いを持っていますか?

 

評価する人とされる人、大人と高校生、という立場を越えて、「マイプロジェクト」を軸に、お互いが「想い(マイ)」と「学び」に真摯に向き合う場を提供したいと考えています。そうした場はきっと、「評価をするための質疑」では生まれないものです。

 

あなたのマイプロジェクトのマイは何(どこ)か、学びは何か、をその場で一緒に「発見」する時間をつくるために、対話的なスタンス、その場の対話を大切にしていただくことをサポーターの皆さんにお願いしています。

 

例えば、高校生が、「自分ってこういう想いがあったんだ」という発見をサポーターとの対話を通して得られること。これは、自分で気づけることもあると思うのですが、他者との対話を通して気づけること、発見できることも多いのではないかと思います。ここまで実践を積んできた高校生にとって、そんな発見ができる時間になればと考えています。

 

――具体的には、参加高校生にどのような意味や変化があったらよいと考えていますか?

 

まず、この場に来るまでに起きた様々なことを承認されて、「頑張ってきてよかったな」と高校生本人が思えることです。

 

さらに、日常生活では得られないような多様な大人との交流を通じて、これまで考えてこなかった/持ち合わせていない視点からの問いをもらってハッとすることで、自身やプロジェクトの在り方、可能性について考える機会にしてもらいたいです。

 

そして、 今後も大切にしたい、自分の軸となる言葉や、大変な時に自分の支えとなるような言葉に出会ってもらうことができたらよいなと思っています。

 

 

対話を担う「サポーター」へのこだわり

 

――今回、目指す対話の実現に向けて、どんなことにこだわりましたか?

 

全国Summitでは、サポーターは対話を通じて高校生の学びをサポートをするだけでなく、ロールモデルを選出するという難易度の高い役割を担っていただきます。

 

そのため、どのような方にサポーターとして参加していただくかは慎重に検討しました。特に重視したのは、

「高校生との対話を楽しんでくださり、どんな想いで活動してきたか想像してくださること

自らがマイプロジェクト的な生き方を体現されていること(自身の目指す未来に向かって、探究的に仕事や活動をされていること)」

社会をより良くしていく/つくっていく「同志」として、高校生と対話してくださること」です。

 

――サポーターの方に対話いただくうえで、事前にお願いしていたことはありますか?

 

事前のコミュニケーションにおいて、

「参加高校生には、緊張のあまり上手く話せなかったり、伝えたいことが溢れてしまったり、色々な高校生が居ることが想定されるが、私たちは参加してくれるどのような高校生にも、”学びを享受する”のではなく”学びを創造する”側になることを期待している、

そのためサポーターの皆さんにも、一方的なアドバイスや評価を目的にした質問ではなく、ぜひ”共に未来をつくる小さな同志”として彼らを受け止め、プロジェクトの背景や現状を聞き、実現に向けた一歩を熟議していただきたい」と、改めてお伝えしました。

 

 

 

お互いにとって学びある対話に

 

――実際の対話の場を振りかえって、どう感じていますか?

 

対話後の全体セッションの中で、高校生から「サポーターの方に~~と言われて・・・と感じました/勇気づけられました」といったコメントがで出てきました。サポーターの方々が真摯に高校生たちに向き合ってくださったことが、高校生たちにもしっかりと伝わり、良い対話の時間となったのだと感じました。

 

また、ある高校生が、サポーターとの対話の中で鋭い問いをもらってモヤモヤを抱いたが、その後の全国Summitにおける時間のなかで、色々な人や自己との対話を経て、自分なりの答えを見つけることができた、という例もありました。

まさに、高校生にとって、新しい発見につながる機会になったと感じ、嬉しかったです。

 

さらに、サポーターの皆さんからも、「高校生の姿からたくさんのエネルギーをもらいこちらも励まされた!」「大人にとっても学びの祭典だった!」などのコメントをいただきました。目指していた「お互いにとって学びのある場」が実現したのだと感じています。

 

 

 

――最後に、今後対話において目指したいことはありますか?

 

全国Summitにおける対話の質を向上させるために、毎年さまざまな試行錯誤を積み重ねてきました。より質の高い対話を届けることを目指して、対話のポイントの知見化にも取組んでいきたいと考えています。

 

【私たちと共に、全国の高校生へマイプロジェクトの機会を届けませんか?】

    • 全国の高校生にマイプロジェクトを届ける取り組みは、皆様からの貴重なご支援によって成り立っています。
    • マイプロジェクトの機会を継続的に、また1人でも多くの高校生に機会を届けるために、是非皆様からのご支援いただけますと大変ありがたく存じます。
    • ▼ご寄付で応援
      1000円からご寄付いただけます。
    • https://myprojects-join.jp/cheer#donation

  • いただいたご寄付は、
  • ・高校生の学びを深め、加速させる発表と対話の場「マイプロジェクトアワード」の実施および高校生の招待費用(旅費交通費・食事代も含む)
    ・高校生に伴走する教員と共にマイプロジェクトを実践する「学校支援」事業
    ・全国の地域パートナーと共に各地で学びの土壌を作る取り組みなどに大切に使わせていただきます。
  • 引き続きマイプロジェクトへの応援をよろしくお願いいたします。

 

 

(文: 全国高校生マイプロジェクト全国事務局 岩城佳那 加瀬仁美)

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